201905.07

いよいよ2020年に実用化予定。5Gが生活やビジネスで可能にすること

来年2020年の実用化に向け、着々と開発が進められている「5G」。2019年1月には総務省が通信事業者や端末メーカーを集結させたフォーラムを開催するなど、5G実現を見据えた動きも活発化しています。

とはいえ、実際に5Gがどのようなものなのか、よく理解できていないという人も多いかもしれません。5Gはこれまでの3Gや4Gと何が違うのか、実装されることで私たちの暮らしにどんな変化があるのか。実用化を目前に控えた今だからこそ、知っておきたい5Gの概要について解説していきます。

そもそも「5G」の意味は?モバイル通信規格の歴史


5Gの「G」とはGeneration(世代)のことで、5Gとは「第5世代移動通信システム」の略称です。

スマートフォンや携帯電話などのモバイル通信は、「規格」と呼ばれるルールに基づいてつくられています。具体的には、モバイル用の通信速度や通信品質などを定めたものです。モバイル規格は「数字+G」で表され、数字が大きいほど世代が進んで、通信速度が速く安定した回線となっています。
この規格が使われ始めた「1G」の時代は、音声通話に対応したアナログ方式の規格でした。「2G」になるとアナログからデジタル方式へと進化し、通話のみだった携帯電話にメールやインターネット接続といった機能が加わります。

2000年代に入ると、2Gよりも高速な「3G」が誕生。このときの通信速度は数Mbps(メガ・ビット毎秒)~14Mbps程度で、モバイルでPCと同様のインターネット環境が実現しました。
そして、現在用いられているモバイル規格が「4G」です。その通信速度はおよそ100Mbpsと超高速で、「次世代高速通信規格」と呼ばれています。

現在主流の4Gですら「十分快適」と思ってしまいますが、5Gはさらにその上をいき、より便利な暮らしを導いてくれるといいます。果たして、5Gになると何がどう進化して、インターネット環境がどのくらい快適になるのでしょうか。

4Gとどう違う?5Gの3つの特徴


新世代のモバイル通信規格である5Gには具体的にどのような特徴があるのか、4Gと比較しながら見ていきましょう。

・超高速・大容量化

5Gでの通信速度は10Gbps(ギガ・ビット毎秒)以上にまで引き上げられる予定となっています。超高速といわれている4Gで100Mbps程度ですから、5Gはその約100倍高速化することになります。今よりもはるかに快適な通信環境が実現するというわけです。

同時に、システム容量と呼ばれる、1秒間で通過できる容量も4Gの1,000倍に増加するといわれています。

超高速・大容量化が実現すれば、例えば、映画など容量の大きい動画をスムーズにダウンロードできたり、視聴の途中で映像や音声が途切れるといったトラブルの心配がなくなったりと、いろいろなストレスが軽減されそうです。

・多数の端末との同時接続が可能に

5Gでは、同時接続できる端末の数が1平方キロメートルあたり100万台に増え、膨大な数の端末が同時に接続可能になるとされています(4Gでは1平方キロメートルあたり10万台が上限)。
例えば、混雑しているショッピングモールや都市部の駅、スタジアムなどでインターネットにつながりにくくなるといったストレスが解消される見込みです。

大量接続が可能になることで、IoT化がますます加速しそうですよね。スマートフォンひとつでテレビをつけたりお風呂を沸かしたり、といったことが当たり前になれば、家事も効率よく進みそうです。

・低遅延化

5Gでは、遅延が1ms(1000分の1秒)以下にまで低減されるといわれています。現在の4Gでは、例えば、LINEなどインターネット回線を利用するアプリで通話をするとき、会話のズレを感じることがあるでしょう。これを引き起こしているのが遅延と呼ばれるタイムラグで、4Gでは10ms(100分の1秒)程度の遅延が発生しています。
5Gでは4Gの10分の1にまで低遅延化できるため、より正確で精密な通信が可能になります。

この低遅延化で個人的に興味があるのが、リアルタイムVR映像です。遅延がほとんどないということは、まさにその場で体験しているような感覚でVR映像を楽しめそうですよね。

5Gで生活やビジネスが変わる。「できるようになること」具体事例


さまざまな可能性が期待される5Gですが、私たちの生活やビジネスにどのような変化をもたらすのでしょうか。想定される具体例と併せて見ていきましょう。

・自動運転による交通の安全性・利便性アップ

5Gの実用化により、「完全自動運転」の実現が近づくといわれています。

自動運転は、走行している自動車の映像が管理センターに送られ、管理センターにあるコンピュータがその映像をもとに遠隔操作して運転が行われる仕組みです。自動運転機能はすべて通信によって管理されているため、ほんの少しのタイムラグも命取りになります。

5Gになり遅延が1ms以下になれば、誤差による交通事故や渋滞の解消が期待できるでしょう。
また、完全自動運転が実現することで、乗車中の時間を有効活用できたり、高齢者がより安全に運転できたりするといったメリットもあります。
将来的には、運転はコンピュータに任せ、自動車の中で本を読んだり仕事をしたり、食事をしたり。自動運転が身近になれば、車での移動がより快適になりそうですよね。

・遠隔医療による医療技術の発展

医療現場では、ロボットを用いた「遠隔医療」が可能になるとされています。遠隔医療とは、医師が手術現場の映像を見ながら、通信によって遠く離れた手術ロボットに指示を出し、ロボットを操作して手術を行うというものです。
患者の命に関わるため、手術中に映し出される映像のクオリティは超高精細であることが求められます。ロボットの操作に関しても、わずかな遅れも許されません。

従来の3Gや4Gでは到底不可能とされていましたが、5Gであれば、そういった超高度な技術をも実現可能になるといわれています。これにより、医療の均質化、被災地における患者への迅速な対応などを図ることができるでしょう。

・重機の遠隔操作による建設現場の作業効率化

5Gの無線技術を用いることにより、重機を遠隔操作して建設作業を行えるようになるとされています。人手不足で建設計画や作業が滞っていた現場でも、効率的に作業が進められるようになるでしょう。
また、災害復旧工事にもこの技術が大きく役立ちます。復旧作業は作業員の命を懸けた大変危険なものですが、5Gの無線技術で人型ロボットを遠隔操作することで、より安全で確実な災害復旧が可能となるのです。

被災地の復旧には、膨大な時間がかかっています。5Gの遠隔操作が定着すればスピーディーに復旧を目指すことができ、被災地が元気を取り戻すまでの時間を大幅に短縮できるかもしれませんね。

・ドローンのビジネス活用による作業効率化

ドローン活用の可能性も広がるといわれています。
例えば、物流業界では、5Gの持つ多接続可能で低遅延という特長を活かし、ドローンを使って目的地まで荷物を運ぶシステム開発が進められています。ゆくゆくは、ドローンが宅配する世の中が実現されるかもしれません。
また、農業分野においては、ドローンを活用した「スマート農業」の研究開発が進められています。ドローンが肥料を散布したり、農機の自動運転によって無人で田畑を耕したりできれば、作業効率が大きく高まるでしょう。

物流業界や農業が抱える人手不足問題は、日々深刻化しています。5Gの技術をもってすれば、ドローン活用による作業効率化で、人手不足問題の解消も期待できそうです。

5Gの今後の展開に注目


5Gが実用化・商用化されれば、3Gや4Gの時代と比べ、はるかに便利な世の中になることは間違いないでしょう。新しいビジネスの可能性にも思いを馳せながら、5G計画が今後どのように進展していくのか、引き続き注目していきたいですね。

FOLLOW

Morebizをフォロー

TAG CLOUD

タグクラウド