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201904.08

イノベーションを創出するデザインシンキングとは? 成功事例からプロセスを理解しよう

SAPやP&Gなど世界的な主要企業が導入していることで知られる「デザインシンキング(デザイン思考)」。

メディアで目にすることも多くなっていますが、日本国内での認知度はまだ低く、ある調査では50%以上の人がデザインシンキングのことを知らないと回答しています。用語としては聞いたことがあっても、どのようなものかうまくイメージできない人も多いかもしれませんね。

今回は、国内で実際にデザインシンキングを実践し、成功した事例から、そのプロセスを解説します。導入成功のポイントについても併せて見ていきましょう。

導入企業の約7割が売上増加。デザインシンキングで多様化するニーズを的確につかむ


デザインシンキングは、企業などの組織においてイノベーションを起こすためのアプローチのひとつです。

・社会における人々のニーズ
・技術的な可能性
・ビジネスを成功させるための要件

という3つの要素を統合するため、デザイナー的な手法を活用します。チームでの発想をベースとし、「ユーザー」を中心に考え、何度も試行錯誤を繰り返すのが特徴。テクニカルな手法や方策ではなく、そもそもの思考の在り方やマインドセットを指します。

アカデミックな文脈では、1970年ごろからデザインシンキングに関する議論が始まりましたが、ビジネスでデザインシンキングが注目され始めたのは2004年ごろからでした。その背景にあるのは、グローバル化と技術革新の急速な進展と、それに伴う社会や人々の生活の急激な変化です。

多様な価値観とライフスタイルを持つユーザーは、高性能・多機能な商品より、より満足や精神的な豊かさを得られる商品を選ぶようになるなど、そのニーズは複雑化してきています。

すると、従来のマーケティングリサーチに限界が見え始めました。たとえば、アンケート調査を実施するとしても、そもそもユーザーが何に困っているかを予測することが難しいので、質問項目を適切に設定することが困難です。さらに、問題が複数の要因から生じている場合などは、ユーザー自身も自分の持つ課題に気付いていないことが多いため、仮にアンケートが適切であっても、的を射た回答が得られない可能性が高くなります。

そこで、ユーザーのニーズを丁寧に把握していくデザインシンキングが、ビジネスでも活用されるようになったのです。

デザインシンキングの導入により、「イノベーティブな新商品・サービスの開発、新規事業の創出」「コミュニケーションの活発化による組織内の信頼関係の構築」「組織の強化による商品・サービスの品質向上」などが期待されます。

また、ある調査によると、経営にデザインシンキングを導入した企業の73.8%が、導入後に「売上と利益が増加・向上した」と回答しています(株式会社ビビビット「『デザイン経営』『デザイン思考』に対する企業の意識調査」)。

売上や利益など、数値的にも明らかなメリットが見えれば、経営陣への説得や社内への浸透もしやすくなりそうですね。

デザインシンキングの5つのプロセス~「Wii」の事例から解説


デザインシンキングでは5つのプロセスを経て課題解決を目指します。実際にデザインシンキング的なアプローチで成功した任天堂のゲーム機「Wii」の例に当てはめながら、順に見ていきましょう。

【ステップ1】共感
フィールドワークやインタビュー、参与観察を通じて、ユーザーの現状や経験を把握するステップです。最初から理屈で具体的な仮説を立てるのではなく、ユーザーの生活や行動、思考、感情、背景にある状況や価値観を感覚的に理解して、気づきを得ることを目指して議論します。

「Wii」の開発は、任天堂の社員の家庭状況を観察するところからスタート。その結果「ゲーム機の存在が親子関係の悪化につながっている」「一緒に鍋を囲む家族は親密度が高い」といった事実が明らかになりました。

【ステップ2】問題定義
明らかになったユーザーの実態をもとに、ユーザーが抱く本当の課題やニーズを抽出して、商品開発や事業の方向性・コンセプトを定義するステップです。ユーザーのペルソナを設定し、そのアクションや感情の変化を時系列で可視化するカスタマージャーニーマップなどを活用して、ユーザーのストーリーを丁寧に考えます。

「Wii」の開発では、上記の気づきから「家族で楽しめる」「家族の関係をよりよくするようなゲーム機」というコンセプトが生まれました。

【ステップ3】アイデア創出
ブレインストーミングなどを通じ、定義したコンセプトを実現できるアイデアを、質より量を重視して出していくステップです。

「Wii」の開発においては、「家族みんなが使いやすいリモコン型のコントローラー」「消費電力の低いCPU」「リビングでも場所を取らないコンパクトな本体」といったアイデアが生まれています。

【ステップ4】プロトタイピング
出てきたアイデアの簡単なプロトタイプを作るステップです。低コストで、必要最低限の機能に絞ったラフなものを作ります。アイデアが形になると、また新しい気づきやアイデアを得られることもあります。

【ステップ5】検証
作成したプロトタイプをユーザーに実際に使ってもらい、想定どおり機能しているか、目的が達成されているかを確認するステップです。ユーザーからのフィードバックは、アイデアの再検証やプロトタイプのブラッシュアップに活用していきます。

「Wii」のコントローラーは、1000回を超えるプロトタイピングが行われたといわれています。ボタンの数や操作性、重さ、計上などの細かい点について検証が重ねられ、現在の形に至ったそうです。

なお、1~5のステップはこの順番どおりにいくものではなく、途中でうまくいかなくなれば、再度それ以前のプロセスに戻って何度もやり直します。この反復を地道に繰り返すことこそが、デザインシンキングの核ともいえそうです。

おわりに

VUCAともいわれる現在の状況において、ユーザーに本当に必要とされる商品・サービスを生み出すためのデザインシンキングは、今後、どのような業界においても必要なアプローチとなってくるでしょう。

ビジネスにおけるアプローチを根本的に変えるデザインシンキングの導入は、各企業の事業や組織の在り方をも変えることにもつながります。デザインシンキングが国内でどう浸透し、どのようなイノベーションが生み出されるか、今後も注目していきたいですね。


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