201902.12

PayPay、LINE Pay、Apple Pay……モバイル決済のメリットと課題を考える

キャッシュレス決済のなかでも、近年、特に注目を集めているモバイル決済。

2018年12月、ソフトバンクとヤフーが設立したPayPayが「100億円あげちゃうキャンペーン」(総額100億円分をPayPay内のボーナスとして還元するキャンペーン)を実施し、大きな話題になりました。

キャンペーン自体も話題になりましたが、終了前後に発覚した不正利用の問題でも注目を集めたPayPay。対策として2019年1月に本人認証サービス「3Dセキュア」発表し、同年2月には同キャンペーンの第2弾の開始も発表しています(※第一弾とキャンペーン内容に変更あり)。

これら一連の動きのなかで、モバイル決済には「便利でお得」というポジティブなイメージと「セキュリティ面が心配」というネガティブなイメージが混在しているといえます。

今回は、モバイル決済の実態や種類、利用にあたってのメリット・デメリットなどについて解説していきましょう。

世界と日本のモバイル決済の現状~2019年には全世界の利用者が9億人以上に


モバイル決済が普及するきっかけになったのは、2014年にアメリカでサービスが開始されたApple Payだと言われています。その翌年には、SamsungやGoogleといった他の主要モバイル関連企業も参入。

さらに中国では、有名ECサイトでの決済方法として始まったアリペイ(支付宝)や、チャットアプリに紐づいたウィーチャットペイ(微信支付)が急激に成長してきました。
スマートフォンがいっそう普及していくなかで、モバイル決済市場は世界的に拡大しており、アメリカの市場調査会社eMarketerは、2019年には世界のスマートフォン利用者の約36.0%(約9億3,800万人)がモバイル決済を利用すると予想しています。

スマートフォンユーザーの3人に1人以上がモバイル決済を利用するようになるという計算ですが、日本ではあまり想像できないかもしれません。
日本においては、実はApple Payが登場するもっと前の2004年から「おサイフケータイ」という形で、モバイル決済サービスが始まっていました。

しかし、調査によると、日本におけるモバイル決済利用者の割合は、2018年5月の時点でわずか5%ほど(MMD研究所「2018年5月 モバイル決済 利用者・未利用者比較調査」)。
日本はモバイル決済だけでなく、クレジットカードや電子マネーを含めたキャッシュレス決済全体の利用割合が少なく、キャッシュレス決済比率は18.4%という数字です(経済産業省「キャッシュレス・ビジョン」)。
韓国の89.1%、中国の60.0%、アメリカの45.0%などと比べると、ずいぶん少なくなっています。

日本でモバイル決済などのキャッシュレス決済が普及しづらい背景としては、「現金を持ち歩いていても盗難に遭うことが少ないなど、治安がよいこと」「偽札が少なく、現金への信頼が高いこと」などがあるとされています。
また、中小事業者を中心に、端末費用・手数料などのコスト面でキャッシュレス決済導入に踏み切れない店舗も多く、そのため消費者側も「キャッシュレス決済を利用したいときに利用できない」という不満を抱えることも多いようです。

そうしたなか、政府は事業者における生産性向上や消費者における利便性向上を目的に、「キャッシュレス・消費者還元事業」の実施を発表しました。同事業は、消費税率が引き上げられる2019年10月1日から9カ月間、キャッシュレス決済を利用した消費者に対し、2~5%がポイントで還元される制度で、増税後の消費低迷を抑制する意味合いも込められています。
同時に、中小・小規模の事業者のキャッシュレス決済導入費用や、運用時の手数料も政府が補助。飲食店や観光客向けのお土産店などがキャッシュレス化すれば、インバウンド対策にもなるでしょう。

これをきっかけに、日本でもモバイル決済が一気にメジャーになりそうですよね。

【消費者側のメリット・デメリット】安全・スムーズに決済できるものの、操作に手間がかかることも


モバイル決済は、消費者(ユーザー)側には次のようなメリット・デメリットがあります。

●メリット
(キャッシュレス決済全般)
・現金を持ち歩かなくて済むため安全。
・ATMを探す手間が省ける。
・支払い時期をコントロールできる。

(モバイル決済特有)
・財布を開く必要がなく、クレジットカードよりもさらにスムーズに決済できる。
・特に非接触決済(スマートフォンを店舗の端末にかざすタイプ)の場合は、生体認証、カード番号のトークンID化など、技術的にもセキュリティレベルが高い。
・クーポンやポイント還元などお得なサービスがある。

モバイル決済では、現金だけでなくクレジットカードも持ち歩く必要がありません。
店頭で出し入れしているときなどの紛失・盗難や、外出先でカード情報を見られてしまうリスクも軽減できそうですよね。
「モバイル決済はセキュリティ面が心配で抵抗がある」という声も聞かれますが、適切に運営されているサービスを選べば、クレジットカードを持ち歩くよりむしろ安全な側面もあるかもしれません。

●デメリット
・初期登録が必要。
・電池が切れたときは現金が必要。
・機種変更したときに作業が必要。
・対応していないカードブランドがある。

特にスマートフォン操作に慣れていない高齢者は、画面上での操作に苦労するかもしれません。バーコード(QRコード)をスマートフォンの画面に表示させたり、店頭のバーコードをスマートフォンのカメラで読み取ったりすることが難しい人もいるでしょう。

また、決済の際に操作が不要な非接触決済は、高齢者にも使いやすいと言われていますが、例えばApple Payなどは、機種変更時にユーザーが作業する必要があります。各サービスでサポート対応もしてもらえるようになるといいですよね。

【店舗側のメリット・デメリット】低コストで導入・運用可能。分割払いができないのがネック


一方、店舗側には次のようなメリット・デメリットがあります。

●メリット
(キャッシュレス決済全般)
・現金の輸送、管理にかかる手間やコストを削減。
・会計ミスを防げる。
・購買履歴データ活用して商品、サービスの向上につなげられる

(モバイル決済特有)
・加盟店申請が簡素。
・初期費用、月額費用が無料であることが多い。
・決済手数料が安い(Origami Pay3.25%、LINE Pay3.45%など)。
・個人事業主でも導入できることがある。
・入金が早い傾向にある。
・チャットサービスと連動しているものは集客に役立つ(Origami Pay、LINE Payなど)。
・レジの混雑を解消できる。

例えば、LINE Payは決済手数料、導入費用、月額費用無料のキャンペーンを行っています(2019年1月30日現在)。
また、加盟店申請手続きもオンラインで行え、添付書類も画像でOK。手間などの見えないコストも含めて削減できそうです。

入金については、例えばPayPayは最短翌日入金となっています。クレジットカードは入金までにタイムラグがあり、導入の障壁になっているケースも多くありますが、そうした問題を解決することが可能です。

●デメリット
・分割払いができないことが多く、高額商品を扱う店舗は導入しづらい。
・紙のレシートを発行できない場合が多い。

2019年1月29日現在、PayPay、LINE Pay、Google Pay(オンラインは可能)、Apple Pay(オンラインは可能)などの主要モバイル決済サービスは分割払いに対応しておらず、店舗の業種を選んでしまうところがあるでしょう。また、現時点ではモバイル決済そのものの認知度が低いことも課題です。

おわりに

モバイル決済には、消費者、店舗の双方にとって多くのメリットがあるものの、同時に解決しなければならない課題も残っているのが現状です。

グローバル化がますます進むなか、各モバイル決済サービスが国内外のユーザーの声を反映しながら、より使いやすいものになっていくといいですよね。

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