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201905.20

「ティール組織」が解決する組織の課題とは?国内事例も示す新しい組織モデルの可能性

マネジメント分野で話題になっている「ティール組織」。この概念を提唱したフレデリック・ラルーの著書『ティール組織』(原著『Reinventing Organizations』)は、世界で20万部超、日本でも7万部のベストセラーになっています。

今回は、ティール組織が注目される背景や実例を見ながら、その特徴について解説していきます。

組織の新たな発達段階・ティール組織

ティール組織とは、2000年ごろから世界で登場し始めているとされる新しいモデルの組織のことです。『ティール組織』は2014年に自費出版されました。

著者のラルーは、かつてマッキンゼーで10年以上にわたって組織変革プロジェクトに従事してきたエグゼクティブ・アドバイザー。『ティール組織』は、実際に新しいモデルを体現する組織を対象として、ラルー自身が訪問調査・インタビュー調査を行い、その結果を分析した内容になっています。

同書では、組織モデルの発達段階を色付けして解説。「ティール」はteal blue=緑がかった青色を意味します。

ラルーによると、これまで人類の組織モデルは、次のように発展してきました。

1. 衝動型(レッド):力と恐怖によって支配される組織。マフィアやギャングなど
2. 順応型(アンバー):規則・規律・規範による階層構造を形作っている組織。教会や軍隊など
3. 達成型(オレンジ):効率的で複雑な階層組織を形成する組織。多国籍企業など
4. 多元型(グリーン):多様性・平等・文化を重視するコミュニティ型の組織。非営利組織など
5. 進化形(ティール):1〜4の従来型組織における課題への突破口を示した組織

企業や自治体、学校など、私たちが日ごろ目にする組織を思い浮かべると、特に3や4に当てはまるケースが多そうですよね。

『ティール組織』が注目を集める理由は、同書が、そうした従来型の組織において、一般的に自明とされてきた概念や、成果を上げてきた手法に潜む問題点を指摘している点にあります。

例えば、達成型組織の課題としては

・リーダーによるトップダウン型のマネジメントだと、組織の階層の上部ほど権限や情報が集中しやすく、組織の下部ではモチベーションが上がりづらい
・効率や成果を最優先するため、人間らしさがおろそかにされやすい
・ビジネス環境が複雑化する中で、計画や目標が機能しなくなっている

などの課題があります。

また、多元型については「コンセンサスに基づいた意思決定では、多様なアイデアをまとめきれず実行性に欠ける」「仲間意識が強くなりすぎ、批判的な意見を出しづらくなる」といった課題が挙げられています。

特に「会社で成果を上げるために社員が自分の意見を言えずにいる」という問題は、多くの人が経験しているのではないでしょうか。これらの組織の課題を解消する形で登場しているとされているのが、進化型(ティール)組織なのです。

ティール組織による3つのブレイクスルーとは

ティール組織は、従来型組織の課題に対する3つの「突破口(ブレイクスルー)」を持っているとされています。

●自主経営(セルフ・マネジメント)
組織のメンバー一人ひとりが、階層的な承認プロセスやコンセンサスによることなく、自由に意思決定できます。裁量が与えられるのは、物品の購入から人材の雇用、なんと給与額の決定まで。なお、意思決定の際には、その分野を専門とする人や、その決定によって影響が出そうな人にアドバイスを求める「助言プロセス」が用いられることが多いようです。

自主経営は、組織内の信頼関係が構築されており、情報の透明性が確保されていることで実現できます。

●全体性(ホールネス)
メンバー全員が、組織の中で人間としてのすべてを安心してさらけ出すことができ、組織や社会との一体感を持てるような風土があります。メンバーが本来の力を発揮して、組織に貢献できるようにするととともに、従来型の組織で敬遠されてきた感情や直感も、ビジネスのヒントやリスクへの気づきがあるものと捉えるのが特徴です。

具体的な取り組みとしては、「肩書きの廃止」「仕事とそれ以外にかける時間についての誠実な話し合い」「ミーティングでメンバー全員の意見に耳が傾けられるような具体的なルール設定」などが挙げられます。

●存在目的(エボリューショナリー・パーパス)
メンバー一人ひとりや組織そのものが「自分たちの組織は何を実現するために存在するのか」「組織はどこに向かうのか」を常に追求します。その存在目的のためであれば、事業内容を大きく転換することも厭いません。また「競争に勝つ」という概念に組織の行動が規定されず、目的を実現するために競合他社と合併することもあります。

さらに、中期計画や年次予算、数値目標などがありません。定期的なミーティングや意見交換の場で、メンバーが各々の意見や動向を綿密に共有する中で、自然発生的に戦略が形成されます。

ティール組織は、この3つの特徴によって、多様なメンバーの人間性ややりがいを大切にしながら、組織として実行力を持ち、社会における存在意義を持つ組織になっているんですね。加えて、実際に達成型の企業を超える成果を上げているティール型企業の例も多数あるといわれています。

ティール組織の国内事例2社~新しい組織モデルがもたらすメリットとは

『ティール組織』では、世界におけるティール組織の事例が紹介されています。ここでは、同書の日本語版の解説でも言及された日本国内の事例を見ながら、ティール組織の有効性について考えてみましょう。

●ダイヤモンドメディア株式会社(不動産関連IT事業・人材紹介事業、従業員約30名)
2007年創業のダイヤモンドメディアでは、以下のように組織が運営されています。

給与は社員全員が参加する会議で決定
財務諸表や給与情報はすべてオープン
役職や肩書きを廃止して社員自身に考えさせる
働く時間・場所や休みは社員自身が決定
社員の起業・副業を推奨
社長や役員は年1回の選挙で決定
経費は自由裁量

このようなフラットな組織運営によって、社員が業界や社会の課題に敏感になり、課題解決を目指した新規事業が生まれやすくなっているといいます。例えば、社員シェアリングサービスの「Tonashiba」もそうした問題意識から生まれたそうです。

●アズワン株式会社(弁当や総菜の製造・配達事業、従業員約60名)
三重県鈴鹿市で「おふくろさん弁当」を展開するアズワンは、役職や会社規則のほか、命令や罰則もない企業。働く時間は社員が自由に決められ、社員同士はメッセージアプリを通じて、勤務時間などについて気軽に相談し合っています。

社員がのびのびと働いていることが、サービスの向上につながっているといいます。例えば、保温容器での弁当配達サービスは、社員がユーザーのニーズに応える形で自主的に始めたものです。さらに、売上も毎年前年比を上回っているといいます。

いずれも、社員が世の中の動向に敏感になり、企業の存在目的を考えながら事業を生み出したり、サービスを改善したりしているのが特徴的ですよね。ティール型の企業が増えれば、企業やその社員だけでなく、社会にもさまざまな価値が提供されそうです。

おわりに

ティール組織は、一見、夢物語にも思われそうですが、実際に新しいモデルの組織は登場してきています。従来型の組織が完全にティール組織に移行するのは難しくても、ティール組織の考え方を徐々に取り入れることは可能かもしれません。そのことでマネジメントの課題が少しでも解決するとよいですね。

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