202001.20

動画マーケティングはなぜ有効か?国内事例に見る成功のポイント

YouTubeの動画広告や企業のSNSでの動画投稿など、最近ではマーケティングに動画が活用されているケースを、ごく一般的に見かけるようになりました。動画マーケティングを実施することで、実際に数値的な成果を上げている企業も見られます。

今回は、動画マーケティングの持つ可能性について、データや成功事例から考えてみましょう。

海外では8割の企業が動画マーケティングを実施。動画視聴環境の整備が背景に

動画のマーケティング活用は、ここ数年、国内外で拡大傾向にあります。

イギリスおよびアメリカを拠点とする動画制作会社Wyzowlの調査レポートによると、2019年にはマーケティング担当者の87%が、マーケティングに動画を活用していると回答。2017年の63%から20%以上伸びていると報告されました。

また、同年には、国内企業の動画広告への取り組み状況が調査されており、対象となった200人超の広告宣伝担当者のうち8割以上が、動画広告に出資していることが明らかに。さらに、そのうち4割以上が「過去1年間で動画広告への投資の割合が増加した」と回答しています(株式会社サイカ「企業の広告宣伝担当者200人超に聞いた動画広告の活用実態アンケート調査」)。

国内の動画広告市場の規模も拡大しており、2019年12月時点で、前年比141%の2,592億円に達する見込みであることが報告されました(オンラインビデオ総研)。かなり急激に市場が成長していることがわかりますよね。

こうした動画マーケティング隆盛の背景には、ユーザーの動画視聴環境が整ったことがあります。具体的には、

・Wi-Fiなど通信インフラの整備
・スマートフォンやタブレットなどスマートデバイスの普及
・YouTubeやInstagramなど、動画を投稿できるSNSやプラットフォームの普及

といった要因が挙げられます。その結果、動画の視聴は習慣として定着してきており、2018年には全年代の約25%、10~20代では約4~5割が、日常的に動画を視聴しています(平日1日当たり平均)。

2020年に5Gが実用化され、通信環境がさらに改善すれば、ユーザーの動画視聴はいっそう拡大することが予想されます。動画マーケティングの有効性もさらに高まりそうですよね。

コンバージョン率3割増の企業も!動画マーケティングのメリットとは

動画マーケティングには、次のようなメリットがあります。

●メリット1:情報量が多く、ブランドや商品の理解促進・購買促進に効果的
テキストや静止画と比べ、動画は多くの情報を伝えられるのが特徴です。アメリカの調査会社フォレスター・リサーチは「1分間の動画が伝える情報量は180万語分、WEBページ3,600ページ分」とも試算しています。そのため、ユーザーが商品やブランドの理解を深められ、最終的に購買へもつながりやすい側面があるのです。

先述したWyzowlのレポートでは、96%のユーザーが「商品についてより詳しく知るために動画を見たことがある」と回答。また、ユーザーの79%が「動画を見て、ソフトウェアやアプリの購入を決めたことがある」とも回答しています。

また、実際に動画マーケティングの成果が見られた例もあります。外国為替証拠金取引プラットフォームeToroのLPでは、静止画ページと比べ、動画ページのコンバージョン率が約32% も増加したとのこと。とても興味深い結果ですよね。

●メリット2:SNSで拡散されやすい
Wyzowlのレポートでは、気に行ったときにシェアする可能性のあるコンテンツの種類として、ユーザーの約半数が「動画」と回答。これに対して、ニュース記事は16%、ブログ記事は5%という数字です。テキストは「読む」という能動性が必要になるのに対し、動画は比較的受け身で情報を得られることから、「シェアされた人に見てもらいやすい」という心理が、シェアする人の側に働くのかもしれませんね。

一方、国内では動画マーケティングに課題を感じている企業が多いのも現状です。

たとえば、先ほど紹介した株式会社サイカの調査では、約半数の企業が「動画広告を含めた広告戦略の全体設計」「動画広告のクリエイティブ制作(工数やノウハウの不足)」といったことに課題を感じていることが明らかになっています。企業が実際に動画マーケティングを展開する際には、依頼するマーケティング会社の選定や、動画コンテンツ制作のサポートツールの導入も重要になるでしょう。

【事例】商品紹介、ブランディング……目的別・動画マーケティング成功のポイントとは

動画のマーケティングを成功させるポイントは、まず目的を明確にすること。そして、その目的に合致した内容を制作して、適した媒体を選ぶことが重要です。

国内での実例を見ながら、その具体的なヒントを探ってみましょう。

●【目的:プロモーション】野村不動産アーバンネット「ありがとう、わたしの家」
プロモーションを目的とした動画では、話題性を意識した動画制作がカギになります。

その例のひとつが、野村不動産アーバンネットの「ありがとう、わたしの家」キャンペーン。家と家族に関する思い出エピソードをユーザーから募集し、受賞エピソードをショートムービー化して、YouTubeのCMにしています。そして「思い出に残る『おうち』をノムコムで探そう」と、同社の不動産情報サイトへ誘導するという施策です。

CMにもかかわらず、中には175万回以上再生された動画も。ユーザーが思わず感情移入してしまう、身近ながらも感動的な内容が反響を呼んでいるのですね。

●【目的:商品紹介】ライブコマース(SHOPROOM、Yahoo!ショッピングLIVEなど)
商品紹介を目的とした動画マーケティングでは、ユーザー目線で商品の特徴や魅力を説明することが重要になります。特に、静止画やテキストでは伝わらない部分を重点的に紹介すると効果的です。

そうした動画での商品紹介の新たな手法として注目を集めているのが、ライブコマース。法人の販売担当のほか、タレントやインフルエンサーが動画のライブ配信で商品を紹介します。視聴しているユーザーは、コメントで配信者とコミュニケーションを取りながら、その場で商品を購入することが可能です。

国内での代表的なプラットフォームには、SHOPROOMやYahoo!ショッピングLIVE、au Wowma! ライブTVなどがあります。配信側にとっては、ユーザーの反応を見ながら柔軟なデモンストレーションが行える点がメリットになりそうです。

●【目的:ブランディング、会社紹介】:アーバンリサーチ リクルートサイト
企業ブランディングに動画を活用する場合は、コンセプトを明確にすることが第一。それに沿って、メッセージ性、ストーリー性のある動画を制作していきます。

動画によるブランディングは、ユーザー向けだけでなく、採用応募者に対しても有効です。その場合は、職場としての魅力も併せて発信する必要があります。

アーバンリサーチは、YouTubeに自社チャンネルを開設し、投稿した一部の動画を新卒向けリクルートサイトに埋め込んでいます。まず、トップページの動画は約2分と短く抑え、2021年の採用コンセプト「COLORS」や、同社の企業イメージを端的に発信。その下の階層では、複数の社員インタビューを、各6分程度の動画で視聴できるようになっています。社員の雰囲気や職場の空気感など、テキストや静止画では伝わりづらい要素を押し出せるのは、動画ならではの強みですよね。

おわりに

企業のマーケティング戦略において、動画はいっそう重要性を増すと考えられます。また、今後、企業が発信する動画に対するユーザーのニーズが変化したり、新たに動画を投稿できるプラットフォームが登場したりもするかもしれませんね。引き続き、市場の動向に注目していきましょう。

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