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201912.16

Voicy、radiko、audiobook.jp……盛り上がりを見せる音声メディア市場の今とこれから

YouTubeをはじめとした動画メディア市場が成熟しつつある昨今、新たな潮流として、「音声メディア」に注目が集まっています。2019年2月には、「声のブログ」と呼ばれるVoicyが約7億円の資金調達を行い、話題になりました。

なぜ今、音声メディアが勢いを増しているのでしょうか。国内市場の現状やその背景を探ってみましょう。

Voicyの会員数が1年間で30倍以上に。アメリカでは5割以上が音声コンテンツを利用

日本国内で音声メディアが台頭してきたのは、2018年前後。冒頭で挙げたVoicyは、同年中に利用者数を30倍以上に伸ばしたと発表しています。また、スマートフォンのアプリなどで既存のラジオ番組を視聴できるradikoでも、2016~2018年の2年間でユーザー数が2倍以上に増加。さらに、オーディオブックの国内サービスaudiobook. jpでは、2019年に会員数が100万人を突破しました。一般ユーザーが音声配信できるサービスとしても、2018年にRadiotalkの正式版がリリースされたり、韓国発のアプリSPOONが日本進出を果たしたりしています。

とはいえ、市場規模でいえば、現状ではまだそれほど大きいとはいえません。マクロミルの調査によると、インターネット配信に特化したネットラジオを利用したことがある人は22.3%、ポッドキャストは15%以下となっています(2018年)。

一方、音声メディア市場が成長しているアメリカでは、オンラインに特化した音声コンテンツを視聴している人の割合が、過去5年間で1.7倍以上に増加。2019年には、これまでに音声コンテンツを視聴したことのある人の割合が51%にも上っています。

日本もアメリカと同じ傾向をたどるとすれば、現時点で市場が未成熟である分、今後の市場拡大が期待できそうです。

音声メディア注目の背景にある「ながら視聴」への意外な需要。スマートスピーカーの普及も後押し

音声メディアが支持を拡大しつつある背景には、次のような要因があるとされています。

●スマートスピーカーへの注目
スマートスピーカーが徐々に浸透している中で、音声だけで情報を伝える音声メディアに注目が集まっています。現に、Voicyもradikoもスマートスピーカーでコンテンツを視聴することが可能です。

現段階では、国内のスマートスピーカーの普及率は約6%にとどまっていますが、非所有者の約3割が購入を希望しているという調査結果もあるなど、伸びしろは十分あるといえるでしょう。

●「ながら視聴」への需要
手ぶらでコンテンツを視聴できる音声メディアは、「ながら視聴」に最適です。この「ながら視聴」へのニーズがあるのは、片手間にしかコンテンツを見聞きできない忙しい人だけではありません。

アプリマーケティング研究所は、スマートフォンに慣れた消費者が、本来、暇ではなかった時間まで「暇だ」と感じるようになっていると分析。具体的には、手・目・耳にそれぞれ暇があると、それを何かしらの手段で埋めようと考えるというのです。

そうしたとき、耳の暇を埋めるコンテンツとして、音声メディアが求められているといいます。たとえば、メイクをしているときは手も目もふさがっていますが、耳だけは暇な状態。動画を見たり、ゲームをしたりはできないけれど、音声コンテンツを聞くことはできますよね。

「忙しいはずなのに耳だけ暇」という現代特有の感覚にマッチしたメディアが、音声メディアなのかもしれません。

ユーザーと配信者の親密度が高まる音声メディア。広告出稿面でのメリットも

音声メディアには、ユーザー、配信者、広告出稿者それぞれに、次のような活用のメリットがあります。

●【ユーザー】配信者との親密感を抱き、内容に納得できる
音声コンテンツの声が、テキストより感情を伝えやすいのは想像に難くないでしょう。近年の研究では、視覚よりも聴覚のほうがコミュニケーション相手の感情をより正確に理解できるという実験結果も出ているといいます。

また、動画コンテンツと違い、配信者の自然な姿を見せやすい側面もあります。たしかに、音声だけだとテロップやカメラワークでの演出はできませんよね。また、たとえばVoicyの収録アプリは、あえて難しい編集ができない仕様になっており、言い間違いや周囲のノイズも入ったまま、音声が配信されるようになっています。

配信者の人柄や想いを感じながら視聴すれば、その内容にも納得感を持てますよね。

●【配信者】配信のハードルが低く、ブランディングに活用できる
配信者にとっては、テキストや動画コンテンツよりも気軽に、素早くコンテンツを配信できるメリットがあります。専門的な動画編集の手間が省けるだけでなく、文法や誤字・脱字も気にすることなく、話し言葉のまま情報を伝えることが可能です。また、感情やニュアンスが伝わりやすいため、炎上を避けやすい側面もあります。

こうした利点から、ブランディングに音声メディアを活用している企業も見られるようになってきました。たとえば、Voicyの法人向けサービスでは、アルクが英会話講座を配信したり、マネックス証券が社員の対談を配信したりして、顧客エンゲージメントを高めています。動画に比べると、企業がブランディングに活用するハードルがかなり低そうですよね。

●【広告出稿者】データを活用し、ユーザーの抵抗感が少ない広告を展開できる
インターネットメディアであることを活かし、ユーザーの視聴履歴や離脱状況などのデータを活用して、パーソナライズ化した広告を配信することが可能です。国内では、radikoが音声によるターゲティング広告モデル「ラジコオーディオアド」の実証実験を、2018年7月に開始しています。

また、音声広告はユーザーが抵抗を感じにくいともいわれています。Adobeがアメリカで行った調査によると、消費者の38%が、音声広告はテレビや印刷物、SNSなどの広告より押し付けがましくないと答えたとのことです(2019年)。

たしかに、従来のラジオの、番組単位で流れるCMでも、くすっと笑えるおもしろいものが多かった印象があります。音声メディアで耳にする広告は、より自分に合ったものになるのかもしれませんね。

近い将来、ネット広告の2割は音声に。視覚メディアとのバランスが重要

音声メディアの今後について、Voicyの緒方氏は、「音声によって『人間がただ生活しているだけで情報が入ってくる』世界になる」と予想しています。それも遠い未来ではなく、3年後には実現するだろうとのこと。さらに、同氏は、インターネット広告の10~20%が音声になるとも話しています。

一方で、音声メディアがその他のメディアを凌駕することはないだろう、という見解も。音声メディアの可能性を探求する研究所Screenless Media Lab.のリサーチフェロー塚越健司氏は、「テレビや動画メディアなど、視覚メディアの影響力が強いのはやむを得ない」といいます。しかし、現在は視覚情報が過剰になっており、見たくないものまで目に入ってしまう状況にあるというのが、同ラボの認識です。そうした中で、聴覚情報に代替できるものはシフトしていき、音声メディアと視覚メディアのバランスを取ることで、QOLを向上させていくのがよい、と考えています。

情報を提供する側と受け取る側が、特定のメディアだけでなく、さまざまなタイプのメディアでつながり、幅広い体験ができる未来が、理想的なのかもしれませんね。

おわりに

わずか2年ほどで急成長している音声メディア市場。いずれは「通勤中にスマートフォンでニュースを聞き、会社では音声広告を出稿し、帰宅したらスマートスピーカーでビジネス書のオーディオブックを聞く」という風景も一般的なものになるかもしれませんね。引き続き市場の動向に注目していきたいところです。

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※参考URL
大手企業が続々参入 音声コンテンツ市場が注目されるワケ (1_3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)
音楽や音声コンテンツに関する調査|市場調査メディア ホノテ
The Infinite Dial 2019
耳は、目よりも感情を汲みとる。活気を帯びる「音声メディア」の魅力と可能性|塚越健司×武田俊 _ ライフハッカー[日本版]
Voicy
radiko、2年間でユーザー数倍増の軌跡 _ [マナミナ]まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン
100万人突破!!オーディオブック白書 2019
トーク配信アプリ「Radiotalk」で、トークにネギを贈る機能とネギ特産の深谷市ゆるキャラがコラボ|エキサイト株式会社のプレスリリース
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音声メディア市場急成長の理由とは?代表的なサービスとともに解説! _ プルークスの動画アカデミー
「音声では嘘をつけない?ーー音声による感情伝達について考える」|Screenless Media Lab.|note
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IoT時代のボイスメディア『Voicy(ボイシー)』が見据える、音声を使ったマーケティングの可能性とは _ シャノンのマーケティングブログ
Adobe Digital Insights_ 米国における音声広告が、テレビやオンラインなどの広告より人々の興味を引く結果に – Adobe Blog
音声広告の効果とその可能性とは?拡大する市場規模
活字と動画の「次」をどうするか Voicy緒方氏が語る音声の可能性とマーケティング活用 (1_3):MarkeZine(マーケジン)
Screenless Media Lab.
スマートスピーカー利用実態調査 電通デジタル

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