201709.14

通勤手段は?時間は?日本と世界の通勤事情

多くの働く人にとって避けて通れない「通勤」。毎日、満員電車でもみくちゃにされたり、果てしない渋滞に巻き込まれたりしている人もいるかもしれません。では、世界の人たちはどのように毎日通勤しているのでしょうか。今回は、日本と世界の通勤事情についてまとめてみました。

【日本】都市部は電車、地方は自家用車と二極化!通勤時間には理想と現実のギャップが

国勢調査によると、国内における通勤・通学者の利用交通手段1位は自家用車で、46.5%という結果でした。次いで鉄道・電車が16.1%となっています。ただし、これには地域差があります。都道府県ごとに利用交通手段別の利用割合を見てみると、自家用車が多いのは山形県(77.6%)、富山県(77.4%)、秋田県(75.4%)などの地方部。これに対して、自家用車の割合が少ないのは、東京都(9.4%)、神奈川県(33.1%)、大阪府(28.6%)などの都市部となっています。一方、鉄道・電車の利用割合は都市部が高く、東京都は44.5%、神奈川県33.1%、大阪府28.6%という結果です。鉄道路線が整備されている都市部では電車、都市部ほど鉄道が充実していない地方部では自家用車が使われていることがわかりますよね。ちなみに、筆者は広島出身ですが、広島は終電も早く、確かに車がないと移動が困難だと感じます。

近年、高齢化する地方の活性化の意味で、地域の公共交通を活性化する動きが高まっています。道路渋滞は精神的ストレスになるだけでなく、地球環境のためにもよくないと言われていますから、地方の公共交通機関がもっと充実すればいいですよね。

一方で、都市部の満員電車も社会問題となっています。国土交通省が平成28年に行った調査によると、朝ラッシュ時の山手線混雑率は約160%だとか。通勤のタイミングをラッシュ時からずらすなど、対策は急務です。

通勤時間はどうでしょうか。アットホームが都内勤務者を対象に行った調査によると、平均通勤時間は58分という結果になっています。一方、対象者が理想とする通勤時間の平均は35分。平均通勤時間は1時間の大台にこそ達していませんが、理想と現実にはギャップがあるようです。

日本には「痛勤」という言葉もあります。満員電車、道路渋滞、長い通勤時間などにともなう通勤のストレスを緩和することが、働きやすさにもつながるかもしれません。

【アメリカ】自動車通勤が主流、90分以上の通勤をするextreme commuterも


アメリカは車社会のイメージが強いですよね。The American Community Surveyによると、アメリカ国内の働く人における自動車通勤の割合は76%。相乗りをあわせると約85%が自動車通勤という結果です。一方、公共交通機関の利用割合は、わずか5.2%にとどまっています。特に西部や南部などの郊外部は、公共交通機関の不足から、自動車通勤をせざるを得ない状況があるよう。日本と事情が似ていますね。

とはいえ、自動車通勤が多い分、混雑の状況はより深刻なようです。オランダのデジタル地図会社TomTomの調査によると、アメリカにおける自動車の混雑度1位はロサンゼルスで、1時間移動しようとした場合、プラス39分かかるとされています。本来の1.5倍以上の時間がかかってしまうのは、かなりのストレスかもしれません。

通勤時間について詳しくみてみましょう。The American Community Surveyによると、フルタイムで働く人の片道平均通勤時間は26分だといいます。日本よりだいぶ少なく感じますが、これもばらつきがあるようです。同調査によると、対象者の8%以上が通勤時間60分以上、さらに3%は、90分以上を通勤に費やす”extreme commuter”と言われています。生活は郊外で、仕事は都会で、というライフスタイルを送る人もアメリカには多そうですよね。ただ、通勤時間が長い分、ストレスは大きそうです。

通勤時間は、ニューヨークやワシントンD.C.、サンフランシスコなどで長い傾向にあります。ただし、これは単に、渋滞や長距離移動のためだけではないようです。都市部では、公共交通機関を使ったり、徒歩や自転車などの「アクティブ通勤」をしたりする人も多くなっています。自動車よりもこれらの手段のほうが時間がかかる傾向にあることから、総じて通勤時間が長くなっているとのことです。ガソリン価格の高騰もあり、公共交通機関を使う人は年々増加しています。環境のためにも好ましいことなのかもしれません。

ある研究では、ストレスの多い自動車通勤は、精神的にだけでなく、身体的にも悪影響があると指摘されています。考えられるリスクには、心肺持久力の低下、肥満の増加、血圧の上昇な度があるとのことです。特に自家用車などで通勤している人は、徒歩や自転車で通勤するアクティブ通勤者に比べてストレスが多いことがわかっています。

これらを踏まえ、アメリカでは自転車通勤に注目が集まっています。各都市で自転車専用レーンの整備などが進んでいるとのことですが、果たして車社会アメリカで、自転車通勤がどれほど浸透するのでしょうか。注目したいところですよね。

【ヨーロッパ】エコで健康的な自転車が人気!


環境対策に熱心なイメージのあるヨーロッパではどうでしょうか。PageGroup の調査によると、おもに車で通勤している人は66%、公共交通機関を利用している人は34%とのことです。そして、公共交通機関が充実しているほど、通勤ストレスも少ないという結果が出ています。「公共交通機関が充実している」と多くの人が感じているのはスイスやオーストリアなど。一方、フランス、イタリアなどは少なめです。

通勤時間については、平均通勤時間が一番短いのはポルトガルで34分。通勤時間が長いイタリアにいたっては平均45分が通勤に費やされています。日本やアメリカに比べると、結構長めですよね。EU圏内での国境を越えた通勤も多いようです。ちなみにイタリアなどでは、通勤中に仕事をする人も多く、その分ストレスを感じている人も多いんだとか。

そんなヨーロッパで人気を集めているのが、自転車通勤です。たとえば、オランダは20%以上の人が自転車通勤しています。同調査によると、オランダの働く人たちは、公共交通機関を使っている国の人たちよりもさらにストレス度が低いんだとか。

オランダでは、自転車通勤が制度的に推奨されています。まず、自転車通勤を始めるときに国から749ユーロ(約9万7,000円)の購入補助金が出ます。約10万円も補助を受けたら、結構いい自転車が買えそうですよね。また、街の設備についても、信号待ちの際につかめるようなバーが設置されていたり、自転車修理用の工具セットが諸所に置かれていたりといった充実ぶりです。さらに、オフィスに自転車通勤者用のシャワーやロッカーを設置すると、国から助成金が下りるようになっています。

自転車通勤には、渋滞解消と環境対策の意味はもちろん、国民の健康を促進するメリットがあります。そのことによって医療費を削減するのが政府のねらいです。ある意味、とても合理的ですよね。近年、世界各国がヨーロッパを見習って、自転車通勤化を進めようとしています。日本もその波に乗れば、道路渋滞や満員電車問題を解決できるかもしれません。

おわりに

日本、アメリカ、ヨーロッパの通勤事情を見てきましたが、いかがでしたか? 通勤は毎日のことですから、できるだけストレスをなくしたいもの。海外の事例を見てみると、そのヒントが見つかりそうですよね。皆さんも明日から、ちょっと通勤方法を見直してみませんか?

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