202004.06

SDGsに企業が取り組むべき理由とは?採択の背景と国内の動向

最近、国内外の企業のWEBサイトや名刺で、SDGsのカラーアイコンを広く見かけるようになりましたよね。従来も、企業はCSRという形で社会貢献に取り組んでいましたが、それとはやや性質が異なる印象も受けます。

SDGsはどのような経緯で提唱されるようになり、なぜ世界中の企業で取り組まれるようになったのでしょうか。国内の動向と併せて解説します。

SDGsとは?持続可能な開発をめぐる議論の歴史と採択の経緯

SDGs(持続可能な開発目標、Sustainable Development Goals)とは、持続可能な世界を実現するための、国際的な開発目標のこと。17のゴールと、ゴールを達成するために169のターゲット(達成基準)から構成されています。2015年に開催された「国連持続可能な開発サミット」において全会一致で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」に、このSDGsが記載されました。法的な拘束力はないものの、加盟国の政府は当事者意識を持って、目標達成のために各国内の具体的な枠組み・仕組みを確立していくことが、国際的に期待されています。

そもそも「持続可能な開発」とは、現世代と将来世代両方のニーズを満たせる開発のこと。具体的には、「経済成長」「社会的包摂(社会的に弱い立場にある人々も排除されないようにすること)」「環境保護」の3つの要素が、持続可能な開発に必要であるとされています。

持続可能な開発をめぐる議論は、1972年にローマクラブ(国際研究機関)が発表した報告書「成長の限界」を発端として、徐々に活発化していきました。2000年には、それまでに主要な国際会議で採択されたさまざまな国際的開発目標を、国連が「MDGs(Millennium Development Goals)」として統合。MDGsは2015年を年限としていましたが、年限までに達成できなかった目標もあり、また、MDGs承認時には想定されていなかった新たな問題も顕在化してきていました。その後継に位置づけられるのが、SDGsということになります。

SDGsの17の目標~先進国も含めた普遍的な取り組みが求められる

SDGsには、主に次のような特徴があります。

普遍性:発展途上国も先進国も普遍的に取り組む。また、取り組みの過程で、地球上の誰一人として取り残さない(no one will be left behind)。
不可分:それぞれの目標は相互に独立しているわけではなく、深く関連している。例えば、飢餓をなくす(目標2)ためには、気候変動への対策(目標13)や平和の推進(目標16)が不可欠。
変革的:貧困を不可逆的に撲滅することを目指した、野心的で大胆な内容。5つのP:人間(People)、地球(Planet)、繁栄(Prosperity)、平和(Peace)、連帯(Partnership)の観点をベースに設定。

具体的に、SDGsの17の目標 を確認していきましょう。

目標1:あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
目標2:飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する
目標3:あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
目標4:すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、 生涯学習の機会を促進する
目標5:ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る
目標6:すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する
目標7:すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
目標8:すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する
目標9:レジリエント(強靭)なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る
目標10:国内および国家間の不平等を是正する
目標11:都市と人間の居住地を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする
目標12:持続可能な消費と生産のパターンを確保する
目標13:気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る
目標14:海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する
目標15:陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る
目標16:持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する
目標17:持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

開発途上国だけでなく、先進国も同様に取り組むべき課題となっているSDGs。特に目標7以降は、先進国にとって関連性の高い内容になっていますよね。

なぜ企業はSDGsに取り組むべきなのか?ビジネスにおけるメリット

SDGsは、従来の開発目標のように国やNGOのみを主体に達成を目指しているのではありません。目標達成のために、民間企業による積極的な取り組みも求めているのが重要なポイントです。大胆に設定された17のゴールや169のターゲットの中には、2030年までに達成するにはあまりに大きなものも少なくありません。そこで、企業のイノベーションによる新たな技術や仕組みの確立が期待されているのです。

この理由から、SDGsでは、企業のビジネスモデル自体にSDGsの観点を組み入れることが想定されています。従来のCSRは「企業が利益の一部を、慈善事業や寄付などの形で社会に還元する」という性質の強いものでしたが、それとは異なりますよね。

さらに企業にとっても、SDGsに取り組むことで次のようなメリットが期待できます。

●新規市場開拓・事業機会創出の可能性
ビジネスと持続可能な開発委員会(Business & Sustainable Development Commission)の試算によると、SDGs によってもたらされる市場機会は、なんと年間 12 兆ドルにも上るとのこと 。大きなビジネスチャンスがあるといえそうです。

●事業の持続的成長の確保
ビジネスモデルにSDGsの考え方を組み込むことで、企業の事業そのものの持続可能な成長も実現できるようになります。例えば、木材を原材料とするビジネスを持続的に成長させるためには、「森林の持続可能な管理」を掲げる目標15を踏まえたビジネスモデルの構築が不可欠でしょう。

●企業価値の向上
社会課題に取り組む企業として、企業価値の向上が期待できます。投資家からの評価向上、顧客・消費者からのイメージアップ、従業員のモチベーションアップ、優秀な人材を惹きつける採用ブランディングなど、得られるメリットは多岐にわたりそうです。

なお、2019年に日経新聞が行った「SDGs経営調査」 によると、SDGsへの取り組みに積極的な企業は、そうでない企業よりも収益力(売上高営業利益率、自己資本利益率)が高い傾向にあるとのこと。社会課題の解決と企業の事業成長は、両立できるだけでなく、むしろ相互に関連しているといえそうです。

77%の企業がSDGsを認知!国内の最新動向

各国政府による国内の具体的な取り組みが求められているSDGsですが、日本でも、2016年には政府がSDGs推進本部を設置。企業向けの施策としては、2017年、SDGsの達成につながる優れた取り組みを行う企業や団体を表彰する「ジャパンSDGsアワード」が創設されました。同アワードには、NPOや自治体などと並んで、毎年複数の民間企業が選出。住友化学やフジテレビジョンなどの大企業から、富士メガネや滋賀銀行といった地方の中小企業まで、多様な規模・業界の企業が表彰されています。

経済界では、2017年には経団連が「企業行動憲章」の改定。10原則の1つ目として「イノベーションを通じて社会に有用で安全な商品・サービスを開発、提供し、持続可能な経済成長と社会的課題の解決を図る」という、SDGsを意図した内容が盛り込まれ、国内企業に影響を与えています。

2019年に国内企業経営者を対象として行われた調査によると、SDGsを「知っている」「ある程度、知っている」と回答した企業は合計約77%で、前年から15%以上増加しています。具体的な取り組みをしている企業は約4割と限定的 であるものの、今後、社会的な認知がより広がれば、企業の取り組みも活発化していくのではないでしょうか。

おわりに

SDGsへの取り組みは、地球環境・社会全体のためのみならず、企業自身の持続可能なビジネスのためにも不可欠です。17の目標はどれも掲げるものが大きく、数としても多いと感じられるかもしれません。ですが、視点を変えれば「これだけ課題があれば、どの企業でもどれかには取り組める可能性がある」とも考えられるのではないでしょうか。

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