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202002.03

「ハイパーオートメーション」はビジネスをどう変えるか?最新のテクノロジートレンドを解説

2019年10月、米ガートナー社はプレスリリースにて「2020年の戦略的テクノロジートレンド トップ10」を発表しました。その中でひとつ目に掲げられたのが「ハイパーオートメーション(Hyperautomation)」(*1)。それまではほとんど話題に上ってこなかった概念ですが、同社が定義して以降、国内外のメディアで取り上げられているのを広く見かけるようになりました。

今回は、ハイパーオートメーションとは何を意味するのか、ビジネスをどう変化させるのかについて解説していきます。

ハイパーオートメーションとは~RPAの先にある業務自動化の姿

ハイパーオートメーションとは、AI(人工知能)やML(機械学習)などのテクノロジーを活用した複数のツールやソフトウェアを使い、一連の業務を自動化することです。ガートナー ジャパンによる日本語版のプレスリリースでは、次のように説明されています。

ハイパーオートメーションは、複数の機械学習 (ML)、パッケージ・ソフトウェア、自動化ツールなどを組み合わせて一連の仕事を実行する概念と実装です。ここでは、ツールセットの幅広さだけを議論するのではなく、自動化のあらゆる手順 (発見、分析、設計、自動化、測定、モニタリング、再評価) を考える必要があります。すなわち、ハイパーオートメーションでは、自動化メカニズムの範囲や、そうしたメカニズムがどのように相互に関連し、それらをどのように組み合わせて調整できるかを理解することが重要です。このトレンドは、ロボティック・プロセス・オートメーション (RPA) から始まっています。しかし、RPAだけではハイパーオートメーションとはいえません。ハイパーオートメーションでは、ツールの組み合わせによって、人がタスクに関与している部分を模倣できるよう支援することが必要になります。(*2)

日本における業務自動化の現状を振り返ると、「業務ごとにRPAなど単一のツールを使い、現状では手作業の業務をそのまま自動化する」という形が一般的です。こうした単純な自動化とハイパーオートメーションには、大きな差がありそうですよね。

RPAのほかにも、iBPMS(インテリジェント・ビジネスプロセスマネジメント・システム)やワークフローシステムなども組み合わせたり、そうした複雑に関連し合う自動化メカニズム(ツールの組み合わせなど)を理解しながら利用したりといったことが、ハイパーオートメーションでは重視されていると考えられます。

まだRPAもあまり普及していない日本では、そうした未来をなかなか想像ができないかもしれませんが、こうしたハイパーオートメーションが、今後5年間で急成長し、社会に大きな影響をもたらすといわれているのです。近年推進されている「働き方改革」が追い風になり、国内でも業務自動化が進めば、より現実的にイメージできるようになるのではないでしょうか。

ハイパーオートメーションは始まっている!UiPathの事例

このハイパーオートメーションにいち早く注目している企業のひとつが、RPAツールベンダーであるUiPath社です(*4)。

同社のプラットフォームでは、これまでにRPA開発ツール「UiPath Studio」、ロボットのジョブを管理する「UiPath Orchestrator」、作成した自動化処理を実行する「UiPath Robots」という3つのツールを提供。

そして「2020年の戦略的テクノロジートレンド トップ10」発表の約10日後に、複数の新製品の追加をアナウンスしました。具体的には、以下の4製品となっています。

・「UiPath Explorer」:自動化に最適な作業を、AIを使って発見する。
・「UiPath Apps」:人による例外対応や承認作業をRPAのワークフローに組み込める。
・「UiPath Insights」:RPAの導入効果を測定する。
・「UiPath Connect Enterprise」:各部門の社員から自動化のアイディアを発掘し、自動化の計画を立てる。

これらの機能を見ると、ハイパーオートメーションの手順である「発見、分析、設計、自動化、計測、モニタリング、再評価」に沿った製品展開になっていることがわかりますよね。

UiPath社のアナウンス時期を見ると、ガートナー社による発表の前から新製品の開発が行われていたと考えられます。ハイパーオートメーションのトレンドが、まさに始まりつつあると感じられる事例だといえるでしょう。

ハイパーオートメーションでビジネスはどう変化する?未来を紐解く2つのキーワード

ハイパーオートメーションの実現により、ビジネスはどう変わっていくのでしょうか。米ガートナー社の同プレスリリースと、Smarter With Gartnerの中の記事「2020年の戦略的テクノロジートレンド トップ10」(*3)の発表で言及されたキーワードの中から、2つピックアップして考えてみましょう。

■組織のデジタルツイン(Digital twin of the organization)(*3)
「ハイパーオートメーション」の結果、生成されるものとして言及されている概念です。デジタルツインとは、物理空間の情報をリアルタイムで仮想空間に再現することを指します。デジタルツインにより、現場である物理空間をモニタリングしたり、現場のシミュレーションをしたりすることが可能です。そのため、現在は工場を持つ製造業を中心に注目されています。

これに対し、ハイパーオートメーションによって作られるのは、組織の見えない要素を可視化した「組織のデジタルツイン」。組織の機能や業務プロセス、KPIがいかに関連しあって価値を創造しうるかを視覚化できるようになるのです。

これまでは目に見えないことが当然だと思っていた組織の仕組みや業務プロセスが可視化されれば、ビジネスの在り方は大きく変化しそうですよね。

■専門性の民主化(Democratization of Expertise)(*2)
トレンドの4つ目として発表されたキーワードです。「専門性の民主化」とは、コストを掛けて特別なトレーニングを受けた専門家でなくても、広く専門的な技術・知識にアクセスできるようになること。具体的には、MLやアプリケーション開発といったテクノロジーの民主化、セールスプロセスや経済分析などビジネス分野における専門知識の民主化が挙げられます。

具体的には、次のように述べられています。

2023年末までに、民主化トレンドの4つの主要な側面が加速するとガートナーは予測しています。具体的には、データとアナリティクスの民主化 (データ・サイエンティストを対象とするツールから、専門の開発者コミュニティを対象とするツールへの拡大)、開発の民主化 (カスタム開発されたアプリケーションでの人工知能 [AI] ツールの活用)、設計の民主化 (アプリケーション開発の追加機能を自動化してロー・コード開発やノー・コードのトレンドを拡大することによる、市民開発者の強化)、知識の民主化 (IT部門以外のプロフェッショナルがツールやエキスパート・システムにアクセスすることによる、自らの専門知識やトレーニングの範囲を超えた専門スキルの活用と応用)も4つです。(*2)

業務自動化が進むことによって、専門家でなくても専門的な業務ができるようになると考えれば、「専門性の民主化」は、ハイパーオートメーションがビジネスにもたらす影響のひとつともいえるでしょう。専門職・技術職の深刻な人手不足問題の解消にもつながりそうです。

おわりに

すでにトレンドとして動きを見せ始めているハイパーオートメーション。働き方改革の流れでRPAなどのツールを導入する際にも、ハイパーオートメーションの未来を見据えておきたいものです。

少子高齢化により、人手不足が一層深刻化すると見られている日本では、今後のビジネスにおいて、ハイパーオートメーションがひとつのカギになるかもしれませんね。

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