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202008.17

「エドテック」は教育現場をどう変革する?国内の注目サービスも紹介

「フィンテック」「アグリテック」など、既存産業にICT技術を掛け合わせて新たな価値を創出するX-Tech。教育分野でも、テクノロジーで変革を試みる「エドテック」ビジネスが登場しています。

教育現場におけるIT化の遅れは各所からたびたび指摘されてきましたが、エドテックはそうした現状に、どう切り込もうとしているのでしょうか。国内の注目サービスもチェックしながら解説します。

エドテックとは~政府も普及を後押し、世界市場規模は9兆ドルにも


エドテック(EdTech)とは、教育(Education)×テクノロジー(Technology)で、教育にイノベーションを起こすビジネスのこと。2000年代半ばのアメリカで登場して以降、“聖域”とも呼ばれる旧態依然とした教育現場に変革をもたらすものとして、世界的に注目を浴びています。

従来のeラーニングもインターネットやデジタルメディアを活用して学習する方法ですが、「エドテック」という場合は、さらにブロードバンドやクラウド、スマートデバイスの普及を前提としたビジネスを指すことが一般的です。

日本では、2011年に文科省が公表した「教育の情報化ビジョン」が、エドテックへの関心を高めるひとつのきっかけになりました。「学習者一人ひとりのニーズに柔軟に対応できる学習者用デジタル教科書の実現」「学籍・出欠・成績の管理や、教員間での指導案・学習履歴の共有ができる校務支援システムの普及」といった構想が明示されました。さらに、2018年には経済産業省でも「『未来の教室』とEdTech研究会」が設置されるなど、国を挙げてエドテックが推進されている状況です。

ビジネスへのインパクトも大きく、世界のエドテック市場規模は2015年の4兆3,270億ドルから、2020年には2倍以上の9兆3760億ドルにまで拡大すると予測されています(MarketsandMarkets社)。国内でも、2019年における市場規模は約2,000億円に達し、2025年には約3,200億円まで拡大する見込みです(野村総合研究所「ITナビゲーター2020年版」)。

これまではなかなか現実的にイメージできなかった教育現場のIT化が、いよいよ本格化しつつあるなかで、エドテックは大きなビジネスチャンスになりそうですよね。

エドテックが解決できる課題~学習効果の最大化から教育格差の縮小まで


エドテックは、具体的に次のような課題の解決につながると期待されています。

●学習効率の向上
テクノロジーを活用することで、より効率的に、高い学習効果を上げられるようになります。以下の3つは、エドテックで可能になる学習手法の代表例です。

・アダプティブラーニング
AIなどの最新技術を活用し、学習者一人ひとりに対して最適な学習内容・方法を実現するという考え方です。学習者ごとに理解度やミスの傾向、集中度合いといった学習履歴データを蓄積し、学習課題を分析することで、オーダーメイドのカリキュラムを作成したり、教材を提供したりします。

・VRによる疑似体験学習
現実には再現しづらいシーンを、臨場感のあるVRで疑似体験しながら学習することが可能です。学校教育分野では、歴史的建造物をバーチャル見学したり、人体の構造を3Dで観察して学習したりできるサービスが登場しています。

・反転授業
「学校で授業を聞いて、自宅で宿題をする」という従来のスタイルとは逆に、授業はあらかじめ宿題として動画などで視聴しておき(インプット)、学校では演習問題やディスカッション、グループワークなどを通じて、学んだことをアウトプットするという学習手法です。教室内のコミュニケーションの中で、より能動的に学習できるようになります。

学習する子どもたちにとっても、勉強がより楽しいものになりそうですよね。

●教育現場の業務効率化と働き方の改善
学校や学習塾といった教育現場における業務負荷を軽減し、労働環境を改善できることも期待されています。

たとえば、教員同士で指導ノウハウや教材のアイデアをシェアできる教員向けSNSや、生徒の出席状況、成績、学習履歴などを効率的に管理できるLMS(学習管理システム)などが実際に提供されています。また、オンライン学習教材を活用すれば、校内の教員では対応しきれない学習内容もカバーすることが可能。人手不足の解消にも効果がありそうです。

●教育格差の解消
エドテックの先駆者であるMOOCをはじめとした無料オンライン学習サービスは、教育格差の解消に貢献できる可能性もあります。低コストで、時間や場所を問わずに質の高い教育を受けられれば、家庭の経済状況や、居住地域による学習機会・教育レベルの差を縮小させることもできるでしょう。

【事例】AI活用、SNS……国内の注目エドテックサービス3選


では、実際に国内ではどのようなエドテックサービスが活用されているのでしょうか。注目の事例を3つご紹介しましょう。

●atama+
atama+は、AIを活用したアダプティブラーニングシステム。中高生の数学、英語(文法・語法)、物理、化学の学習に対応しており、主に学習塾で利用されています。

同社が実際に、高校生にatama+を利用してもらって調査したところ、受講前と2週間受講(1日あたり平均63分学習)した後で、センター試験(数IA)の得点が平均50.4%も上昇したとか。

現在では、駿台やZ会(教室)といった大手受験予備校・学習塾にも利用されています。受験勉強の常識が大きく変わるかもしれませんね。

●Clear、ClearS
Clearは、アジア6カ国で展開する学習者(小学校~大学)向けのSNSアプリ。勉強ノートを写真に撮って共有し合ったり、Q&Aの掲示板でユーザー同士が勉強を教え合ったりすることが可能です。さらに、学校をはじめとする教育機関向けのサービスClearSでは、教師同士が教案を共有し、ノウハウを蓄積できる機能も搭載しています。

ClearSを導入している学習塾ユニバースクールでは、生徒のノート提出に同サービスのノート共有機能を活用。「ほかの生徒にもノートを見られる」という緊張感から、生徒たちがノートを取ることに対して積極的・能動的になっていったといいます。さらに、生徒自身が人に教える場になっているQ&A機能も、学習内容の定着に役立っているそうです。

「誰かとつながりながら、一緒に勉強している」と感じられれば、勉強に対するモチベーションも上がりそうですよね。

●Schoo
主に社会人のスキルアップに役立つ生放送授業を、毎日無料で配信しているSchoo。チャットで講師へリアルタイムで質問したり、受講生同士でディスカッションしたりできるのが特徴です。有料プランでは、4,600本以上の録画授業を視聴することもできます。

学習管理機能やオンライン研修実施機能が利用できる法人プランは、教育機関でも利用されています。たとえば、IT系専門職大学院である神戸情報大学院大学では、授業の予習・復習用の補助教材としてSchooを活用。また、栃木県にある私立佐野日本大学高等学校では、Schoo内のOffice製品やWebデザインに関する授業を、「情報」の授業で活用しているといいます。学生時代から、実践的なスキルを身に付けられそうです。

おわりに

生徒の学習体験と、教員の業務の在り方を大きく改善することが期待されるエドテック。国内では、学校におけるICT環境の整備や、教員のITリテラシー向上など、普及に向けた課題もありますが、昨今のコロナ禍を機に、これらが解決に向けて大きく動き出す可能性も十分に考えられるでしょう。エドテックの今後の動向に、ますます目が離せなくなりそうです。

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