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201910.07

軽減税率でも注目。Uber Eats、出前館など国内フードデリバリーサービスの市場動向を解説

ここ3年ほどで、国内ではUber EatsやLINEデリマなど、新しいフードデリバリーサービスが台頭してきています。

日本には古くから「出前」の文化があり、お寿司やラーメンの出前、ピザの宅配などはこれまでも身近なものでしたが、最近のサービスはこれらとはやや性質が異なるように感じられますよね。

今回は、フードデリバリーサービスの市場動向を読み解きながら、その背景や業界の今後について考えます。

国内フードデリバリーサービス市場は3年間で14%成長。新サービスのコアユーザーは30代

フードデリバリーサービス市場を、市場規模と利用者実態、主要サービスの動向という3つの側面から見てみましょう。

市場規模
外食・中食市場情報サービス「CREST」を展開するエヌピーディー・ジャパンの調査によると、2018年の日本のレストラン業態(小売店、自販機、社員食堂、学生食堂を除く、宅配ピザを含む)における出前市場は4,084億円となっています。市場規模は年々増加しており、2015年の3,564億円から3年間で14%以上成長している計算です。

一方、日本の外食産業におけるデリバリーの比率は2017年時点で3%となっており、韓国(10%)や中国(8%)、イギリス(8%)など世界各国と比べると、いまだ少ないのが現状です(エヌピーディー・ジャパン株式会社)。逆にいえば、今後まだまだ市場は拡大する可能性を秘めているといえるでしょう。

世界的にもフードデリバリーサービス市場の成長が見込まれており、モルガンスタンレー社は「2022年までに、世界のフードデリバリー率は11%まで拡大する」とも予測しています。

利用者実態
リサーチ会社マクロミルが1都3県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)に住む人を対象に行った調査(2018年)によると、1年以内にフードデリバリーサービスを利用した人は59%にも上っています。オーダー方法は「電話」と「インターネット(PC、スマートフォンなど)」のいずれも60%以上という結果に(複数回答可)。利用シーンとしては「料理が面倒な時」(34%)、「忙しく、食事の準備ができない時」(27%)などの回答が多くなっていました。

また、MMD研究所が2019年に行った別の調査によると、インターネットのフードデリバリーサービス利用率が年代別でもっとも高かったのは、男女ともに30代で4割弱とのこと。また、未婚の人よりも既婚の人のほうが利用率が高い(未婚23.8%、既婚42.5%)ことがわかっています。

仕事もプライベートも忙しい30代の男女が、スマートフォンなどのデジタルデバイスを駆使して家事を時短する……そんなイメージが浮かんできますよね。

国内主要サービスの動向
日本のフードデリバリーサービス市場におけるひとつの転機になったのは、2016年9月のUber Eats参入だといわれています。Uber Eatsは、評価制度をはじめとした配車サービスUberのノウハウを活用し、ユーザー・飲食店・配達員をリアルタイムでマッチングするシェアリングエコノミーのサービス。登録店舗数は全国1万店以上で、利用者の半数以上が20~30代の若年層という調査結果もあります。

また、同年には、夢の街創造委員会による出前館も「シェアリングデリバリー」(自社配達を行っていない飲食店がデリバリー機能をシェアできるサービス)を開始。朝日新聞の販売店ASAなどと提携して確保して配達拠点・配達員を確保し、2019年4月末時点でアクティブユーザー数は288万人以上、加盟店舗数は1万9,122店舗となっています。同社はさらに、NTTドコモのフードデリバリーサービス「dデリバリー」の運用や、LINEが展開する「LINEデリマ」のシステム開発や店舗開拓なども手掛けており、国内フードデリバリーサービス市場において中心的な役割を担っているといえるでしょう。

先述したMMD研究所の調査によると、直営店のものを除くインターネットのフードデリバリーサービスでもっとも利用されていたのは出前館(21.1%)、次いでUber Eats(12.0%)となっています。

市場拡大の2つの要因~フードデリバリープラットフォームを可能にする技術とニーズを高める社会的背景

smart phone on table food delivery content.

フードデリバリーサービス市場が国内で拡大している主な要因として考えられているのは、次の2つです。

テクノロジーを駆使したフードデリバリープラットフォーム
Uber Eatsや出前館など、テクノロジーを活用したフードデリバリープラットフォームの登場により、ユーザーがサービスを利用しやすくなり、飲食店もデリバリーへの参入が容易になっています。Uber Eatsを例に、注文受付から支払いまでの流れと、ユーザー・飲食店のメリットを見てみましょう。

・ユーザーからスマートフォンアプリなどを通じて飲食店への注文を受け付け
アプリの画面には、ユーザーの自宅や職場に配達が可能な飲食店とメニューが一覧で表示されており、ユーザーはタップするだけで注文が可能。自分で飲食店を探したり電話したりする手間が省けます。飲食店側も注文を電話で受け付ける手間を削減できます。

・プラットフォームから提携配達員(配達パートナー)へ配達指示を送信
配達指示は、各配達パートナーの実績や評価、現在の位置情報(GPSデータ)などをもとに、AIを利用して行われます。飲食店は配達管理の業務を効率化できるだけでなく、配達員を雇用したり、配達用車両を確保したりするコストも削減することが可能です。

・配達情報はプラットフォームを通じてリアルタイムで確認
正確性の高い配達時間を把握できるため、ユーザーはストレスなく受け取りできます。

・支払い(集金)はアプリを通じたキャッシュレス決済
配達時における金銭の受け渡しが不要になり、ユーザー・飲食店双方の手間を削減できます。

実際に、筆者もこれらのサービスをよく利用していますが、デリバリーに対するハードルが一気に下がったと感じました。現在ではスマートフォンなどのデジタルデバイスが広く普及し、インターネット環境の整備も進んでいるため、ユーザーのすそ野は広がっているといえるでしょう。

飲食店側については、調理以外の注文受付・配達・集金というプロセスをプラットフォーム側で行ってくれるため、低コストでデリバリーサービスに参入できるようになっています。個人経営の小規模な飲食店もUber Eatsや出前館に登録されているのは、この理由からなんですね。

共働き世帯の増加など社会的背景
労働政策研究・研修機構によると、国内の共働き世帯数と専業主婦世帯数は1995年~2000年頃に逆転し、2018年には共働き世帯数が専業主婦世帯数の約2倍になりました。こうした状況で、料理をはじめとする家事の時短ニーズが高まっていることも、フードデリバリーサービス市場拡大の背景にあるとされています。

さらに今後は、高齢化の進展により、交通網の整備が遅れている地方部を中心に外出困難な高齢者が増加する可能性が指摘されており、高齢者におけるフードデリバリーサービスの需要が高まるのではないかという意見もあります。

より短期的な視野では、2019年10月以降の消費税増税と軽減税率の導入に関連して、フードデリバリーサービスが軽減税率の適用対象となっていることも市場に影響を与えそうですよね。

おわりに

フードデリバリーサービスは飲食業界だけでなく、IT、物流など、さまざまな業界が関連しているのが特徴です。市場が一層拡大すれば、今後、ほかの業界が参入する可能性もあります。

ユーザーとして便利に利用できるようになるだけでなく、ビジネス面でも多くの人が無関係ではなくなってくるかもしれません。引き続き、市場の動向を見守りたいところです。

※参考URL
ますます家庭にも浸透するフードデリバリー _ InfoComニューズレター
<外食・中食 調査レポート>成長する出前市場、2018年は4,084億円で5.9%増 – エヌピーディー・ジャパン _ NPD Japan
<外食・中食 調査レポート>世界13ヶ国のフードデリバリー ウェブ・アプリ利用率は中国が1位 – エヌピーディー・ジャパン _ NPD Japan
Online Food Delivery May Get Amazoned _ Morgan Stanley
フードデリバリーに関する調査|市場調査メディア ホノテ
「2019年9月 インターネットでのフードデリバリーサービスに関する調査」MMD研究所
出前“新世紀”、市場拡大「フードデリバリー」関連株の食べ頃は <株探トップ特集> _ 特集 – 株探ニュース
フードデリバリーの主要6サービスを比較 _ [マナミナ]まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン
UberEATSのビジネスモデル:東京は「フードデリバリー」がタクシーより普及する? |ビジネス+IT
需要高まるデリバリー 出前館とウーバーイーツ|物流ニュース|物流ウィークリー|物流・運送・ロジスティクス業界の総合専門紙
夢の街創造委員会株式会社
フードデリバリーはスマホで新時代へ 食の新しい楽しみ方が広がる _ Beyond(ビヨンド)
図12 専業主婦世帯と共働き世帯|早わかり グラフでみる長期労働統計|労働政策研究・研修機構(JILPT)
飲食店によるデリバリーの市場規模は4,048億円、前年比5.9%増。拡大する出前ビジネス _ Foodist Media by 飲食店.COM
よくわかる消費税軽減税率制度-国税庁

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