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201911.11

AIを使った契約書チェックサービス創業者が語る、日本のリーガルテックの現在地

さまざまな分野で〇〇テックという言葉が生まれ、IT技術を駆使した課題解決が行われています。法務の分野もそれは例外ではなく、IT技術やAIによる「リーガルテック」のサービスを利用している企業が増えています。

そこで、AIを使った契約書のチェックサービス「AI-CON(アイコン)」を提供するGVA TECH株式会社 代表取締役 山本俊さんに、最新のリーガルテック動向についてインタビューを行いました。

あわせて、現役の弁護士でもある山本さんに、スタートアップ企業が陥りやすい法務の問題や、コストをかけずに不利な項目のない契約書を作成する方法もお聞きしました。

リーガルテックの最新動向。個人向けのサービスが出てくるか?

―リーガルテックの最新動向をお聞かせください。

―山本
たとえば、契約書の押印を電子で行うといったような、直接的には法律と関係ないことまでも含めると、リーガルテックの領域は非常に幅が広がってきています。ただ、契約書の中身に関わったり、AIを使ったりというところは、まだまだこれからかなという印象です。

日本のリーガルテックは、まだまだ黎明期といったところのようです。一方、アメリカでは2年前の時点で、すでに1000社ほどの企業がリーガルテックのサービスを提供し始めていたそう。

―山本
アメリカでは弁護士ではない人が立ち上げるリーガルテックも多いと聞くので、日本でもそういった企業が増えれば、もっと広がるのかもしれません。

とはいえ、弁護士ではない人が法務の中身に関わるサービスを考案するのはとても難しいことです。日本では、日常的にあまり関わりないがゆえに課題も感じづらく、テック分野での起業を考えたとしても、あえて法務の領域に踏み込もうと思う人は少ないでしょうね。

―山本
日本のリーガルテックに期待することとして、現在は契約など企業向けのリーガルテックサービスが多いのですが、これからは、
・離婚
・相続
・交通事故
などを対象とした、個人向けのサービスも必要となってくるでしょう。

AIによる契約書チェックで相手企業と再交渉した例も

―GVA TECHが提供しているリーガルテックサービス「AI-CON」は、中小企業やベンチャー企業向けの契約書チェックサービスです。実際にAI-CONではどのようなことができるのでしょうか。

―山本
基本的には弁護士がやっていることをAIで代替するサービスです。契約書をアップロードすると、AIを使って契約書に潜むリスクを1営業日以内でフィードバックします。弁護士に頼めば何万円とかかるところを、AI-CONでは安く早くできるところがメリットだといえます。

今年10月には、秘密保持契約書(NDA)に限り、1通500円でトラブルにつながりやすい項目を重点的にフィードバックする「即時チェック」の機能もリリース。

利用してみたという経営者の中には、NDAの内容に特に危機感は感じていなかったにも関わらず不利な項目が4つも見つかり、慌てて相手企業と交渉を行ったという報告もあったそう。

―山本
過去に契約書で痛い目に遭ったことのある人でなければ、契約書をしっかり見ようとは思いません。新しくリリースした「即時チェック」機能は、重大なリスクとあわせて、そのリスクが元となるトラブル事例も表示させるため、納得しやすくなっています。AI-CONを使い続ければ、徐々に法務リテラシーも上がっていくのではないでしょうか。

すべての契約書を弁護士にチェックしてもらうことができない中小企業やベンチャー企業にも等しく法務の力を与えることを目的に開発されたAI-CON。

そんなAI-CONをもっとも有効活用するにはどうすべきなのか? 山本さんに聞きました。

―山本
頻度の高い定型的な契約はAI-CONでチェックをします。大きな取引の契約書などは、一度AI-CONで確認したうえで、相談範囲を絞って弁護士に頼むのがベストです。

弁護士に依頼する際にも、相談範囲を絞っておけば、費用が抑えられるといいます。

―山本
正直、弁護士としては「ここだけ見てください」という依頼はあまり嬉しくないんです。そこだけ見てほしいと言われても、結局のところはすべてに目を通さなければ、その契約に関してしっかりとアドバイスができませんし、後に大きな問題に繋がり、信頼関係が成立しないということがありますからね。

とは言いながらも、相談範囲を絞ることで、チェックのスピードは上がることも重要だと山本さん。コストを抑えながらもスピード感をもって契約書のチェックを済ませたい企業はもちろん、たくさん案件を抱える弁護士にとってもメリットのある方法と言えそうです。

スタートアップ企業が法務で直面しがちな課題

―山本さんは、弁護士でありながらGVA TECHを起業されています。それまでも弁護士としてスタートアップを支援してこられたわけですが、法務の分野でスタートアップが実際に抱えている課題は何だと感じておられますか。

―山本
企業活動で必要とされる法務は、労働や知財、株主関係の契約、ウェブサービスを立ち上げる際の利用規約やプライバシーポリシーなど、非常に多岐にわたります。スタートアップでは、これら全般に対して「そもそもどのような内容にすればいいのか分からない」といった根本的な悩みが多い印象です。

よく分からないからと、インターネットからダウンロードしたテンプレートを用いて契約書を作成しているという人も多いかと思いますが、そこには致命的な問題が潜んでいることもある、と山本さんは語ります。

―山本
インターネットのテンプレートは自社に不利な契約内容である可能性もあります。実際に僕も契約相手から受け取ったことがあります。

しかし、受け取る方は自社に有利な内容に気づいてもあえて指摘する必要がないので、記載してある内容がそのまま通りやすい。特に、相手企業に知的財産をすべて持っていかれてしまうなど、事業存続に関わる内容はインパクトも重大なので、注意すべきです。

契約相手が消費者として信頼できる大企業であったとしても、契約内容はしっかりと確認した方がいいそう。

―山本
実際に弁護士として契約書を見ていて、大手企業は相手に応じて契約内容を変えているのではないかと思うことがあります。特にスタートアップはそれほど契約慣れしていないと思われてしまう。いくらなんでもひどい、と感じるものもありますね。

僕自身も実際に起業を経験してみて感じたことですが、スタートアップでは、企業を存続していくために避けて通れない営業や経理などを経営者一人が行っていることが多い。その結果、法務はかなり後回しになってしまうと感じます。

目標はユーザー数10万社

―GVA TECHはAI-CONのほかに、大企業向けのAI-CON Pro、契約書のドラフトがダウンロードできるAI-CONドラフト、法人登記を支援するAI-CON登記と、複数のサービスを展開しています。GVA TECHの今後の展望をお聞かせいただけますか。

―山本
弊社のビジョンは、「法務格差の解消」。今後も、このビジョンを実現させるための事業を行っていきたいです。

具体的には、現在のサービス体制で、ユーザー数を拡大していきたいと考えています。現在、AI-CONのユーザー数は150社を超えているのですが、これを今後は10万社まで伸ばしたいですね。

法務格差は、何か問題が生じたときに初めて自覚するもの。何かあったときに困らないための助けとして、AI-CONのサービスは大いに役立ちそうです。

山本さん、お忙しいところありがとうございました。

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