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202004.16

「とりあえずAIを導入する」のは危険?AIメディア×コンサル企業に聞く、人工知能の活用可能性

最先端の技術として、AIや人工知能といった言葉を頻繁に耳にするようになりました。しかし、それはどこか遠い世界のできごとだと感じている人も多いかもしれません。

今のところAIを活用している企業は一部ですが、実は私たちの身近な生活や仕事において、さまざまな領域で活用されています。しかし、そこにはちょっとした誤解も。

そこで、AIをテーマとしたメディアの運営やAIの導入コンサルティングなどを行う株式会社レッジの代表取締役 橋本和樹さんに、AIの可能性や、社会に浸透させるうえでの課題などをうかがいました。

AIの可能性と、活用の現状

―そもそもAIは、どういった可能性を持った技術なのでしょうか。

―橋本
AIの技術が台頭する以前、機械は自ら判断してアクションを起こすということができませんでした。たとえばエアコンなら、リモコンのボタンを人間が押すことで温度調節や風向の変更はできても、「あの人が寒そうだから、風をこっち向きにしよう」というふうに、自ら場を認識して判断する能力はなかった。しかし、それが少しずつできるようになってきたというのが、AIや機械学習、ディープラーニングと呼ばれるものの一つの特徴です。

つまり、これまで人間の介在を必要としていたところを、機械のみでできる可能性が広がったということ。人間の認識能力と同じようにとても汎用性が高いので、さまざまな業界での応用が期待されています。

では、現在はどういった場面で使われているのでしょうか。

―橋本
最も活用が進んでいるのは、やはりIT業界です。たとえば、ゲームやインターネットセキュリティ。分かりやすい例でいえば、迷惑メールの排除もそうです。昔に比べて迷惑メールの量が減ってきているのではと思いますが、それは人間であれば容易に判断できるような迷惑メールの特徴を機械が学習し、振り分けているからなんです。

最近では、農業や漁業といった第一次産業での活用も進んでいるそう。また、無人スーパーの「Amazon Go」や自動運転など、時代を先取りするサービスにも使われています。

―橋本
ただ、先日IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が発表した「AI白書2020」によれば、AIを実際に導入している企業はわずか4.2%。まだまだ活用は広がっていないのが現状です。

AIの活用には、正しい理解が必要

―AIの活用をさまざまな企業に広げるにあたって、どのような課題があると思われますか。

―橋本
まず、汎用性が高いことが強みである反面、だからこそどう使えば最も価値を出せるのかが難しいと言えます。お金をかけたのに、結局何のベネフィットも出せずに終わってしまうということは、いくらでもあるでしょう。

ITの世界であれば、試しながら最適な活用法を探すというトライアンドエラーが簡単にできますが、たとえば製造業など、機械の導入に多額の費用がかかる場合は、気軽に試すというわけにもいきません。それが、活用の足かせになっているということもあるようです。

―橋本
その業界での最適な活用法を導き出すには、その業界のビジネスに詳しい人とAIの技術に詳しい人の双方がしっかり連携することがキーになります。我々としても、そこは支援に取り組んでいるところの一つです。

また、世間一般のAIに対する誤解も、AI活用を推進するうえでの課題になっているそう。

―橋本
一般的にAIは何でもできると思われがちなのですが、そこには少々誤解があります。というのは、ある程度やってみないことには、どの程度できるのかが分からないということ。できることとできないことがあるというよりは、99%の精度が出せることもあれば、80%の場合もあるという不確実性を、事前に理解していただきたいと思っています。

実際に、高い期待を持ちすぎて、がっかりしてしまうケースも多いとのこと。まだまだAIの活用事例は多くない分、リスクを理解しつつ、AIの技術者と一緒にトライしていくという心構えが大事なのですね。

レッジでは、AIをテーマにしたメディアを開設し、AIに対する正しい理解を促すことにも取り組んでいます。

中小企業にとっても、活用ハードルは下がりつつある

―実際に、AIに関してどのような相談を受けることが多いですか。

―橋本
2年前くらいまでは、特に大企業で、AI推進室が社内で立ち上がったから何かしなければというような、漠然とした相談が多くありました。現在はそれが一周し、一度試してみたけれど失敗してやめてしまったところもあれば、うまくいって新たなチャレンジを始めているところもあるという状況ですね。

それ以外では、地方の中堅企業からの相談も増えてきているそう。

―橋本
最近では、たとえば製造業であれば、新たな機械を五千万出して導入する代わりに、その費用をデジタル化やAIに使えないかという話も出るようになっています。そういった場合は、パートの人が行っている検品作業を自動化したいといったように、具体的な相談も多いですね。

とはいえ、AIのような最新技術を導入するには、ある程度大きな予算がなければいけないといったようにハードルが高いと捉えられがちです。しかし最近は、AIを簡単に試せるプラットフォームが増えつつあり、そのハードルは下がってきています。

―橋本
たとえばソニーやGoogle、Amazonやマイクロソフトなどさまざまなプラットフォーマーも、簡単にAIをつくれるサービスをリリースしています。技術を簡単に試せる素地は徐々に揃ってきているので、それとアイデアをつなぐことができれば、中小も含めた幅広い企業で活用が広がっていくのではないでしょうか。

「場作り」を通して、トライする人の背中を押したい

―今後、AIの活用を社会に浸透させていくためには、どうするべきでしょうか。

―橋本
僕らはメディアによる情報発信を行っていますが、それだけで行動を起こしてもらうのはなかなか難しい。なので、トライする人を増やすために、セミナーなどのリアルイベントを開催し、直に熱気を感じたり仲間を増やしたりする“場を設ける”ことが重要だと考えています。(※編集部注 この取材は1月下旬に行われたものです)

その言葉通り、レッジではさまざまなイベントやセミナーも行っています。昨年は、福井新聞と一緒に福井の企業の人たちを対象にセミナーを開催し、アイデアのつくり方や技術の簡単な試し方などを、座学やグループワークを通して伝えたそう。

―橋本
セミナーを通して知識を広げてもらい、それを自分たちの業務と掛け合わせて何ができるかを考えてもらうことで、AIの新たな可能性は広がっていきます。たとえば、セミナーで精米会社の人たちが、米の市場価格の予測ができればビジネスのバリューがもっと上がるという話をされていましたが、これはその業界を知らなければ気づけない視点です。

また、今はAIの技術者の数が限られていますが、今後AIの技術を扱える人が増えれば、活用の幅は広がります。一部の大学にはAIを専門に教える学部ができ始めているようですが、社会人も積極的にAIを学ぶような環境ができれば、もっと浸透するのかもしれません。

―橋本
レッジでは、これからもメディアやイベント、コンサルティングなどを通して、AIを浸透させる取り組みを続けていきます。今はAIがちょっとしたバズになっていますが、それに乗じて、アナログな企業がデジタル化していくきっかけになればと考えています。

橋本さんのお話の根底には、AIの活用やデジタル化を進めることで社会を良くしたいという思いがあることが感じられました。すべての企業がAIを活用するにはまだまだ時間がかかりそうですが、その先にはどんな世界が広がっているのか、とても楽しみになりました。

橋本さん、お忙しいなかありがとうございました。

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