202107.21

3.11で実感した マンションの「自主防災協力会」のありがたみ

支え合い、備え、いのちをつなぐ
『震災リゲインpress』 転載記事
36号 発行:2021年7月11日

3.11で実感した
マンションの「自主防災協力会」のありがたみ

<文=藤田沙智代 イラスト=飯川雄大>

地域コミュニティの共助の組織として注目されている自主防災組織。東日本大震災直後に、とあるマンションでこんなことがありました。

◎ここでの「自主防災協力会」の活動内容は?◎
宮城県仙台市・広瀬川の畔に建つ筆者が住む集合住宅での3.11のお話です。全27戸のこぢんまりとした分譲物件で震災の10年程前から「自主防災協力会」を結成していました。三陸沖地震を懸念した発起人の強い意志によるもので、今も住人のリーダー的存在です。

組織名は仰々しいですが、避難訓練や消火訓練をするわけではありません。年会費から防災用品と称し鍋釜・調理器具・コンロ・水・薪等を備蓄。年2回河原で煮炊きをしつつ、お花見と芋煮を楽しみ交流を深めるというもの。食材費とお酒代も会費からまかなわれ、分譲組・賃貸組とも参加率がかなり高い人気行事です。

被災後のマンションのインフラの状況は、電気の復活は4日後、ガスは25日後。水道は駐車場敷地内に貯水槽があって蛇口から直接タンクに入れて運ぶことができ、給水車に頼らずに済んだのは助かりました。建物自体の被害は大半の戸が半壊認定となりました。

◎震災直後に自分たちのための炊き出しを開始◎
当日夜はほぼ全員が近くの避難所で過ごし、翌日午後から「自分たちのための炊き出し」が始まったのです。年2回屋外で煮炊きの準備から片付けまで長時間作業してきただけあって、皆の動きは阿吽の呼吸。水を汲み火を起こし皆が持ち寄った食材を調理し、今後に備えて河原で薪も収集。それぞれが誰の指示もなく、できることを自主的に進めていく、なんて頼もしい組織なのかと感動しました。震災直後に自己紹介から始めたら、情報交換すらままならないかもしれません。

最初の2日間は電気の切れた各家の冷凍庫からステーキ肉や北海シマエビなどのお宝が次々と放出され、状況的に不謹慎と感じるほどのグルメな献立になりました。炊き出しは日中家にいる有志で1日2回、両親が働いている春休み中の子どもたちもいたため2週間続けられました。豪華な食材はすぐに尽きましたが、皆で米や保存食などを提供し、炊き出しの合間時間には自転車で商店を周り、食材集めをしていました。

当初の会場は屋外でしたが、放射能の心配もあり、エントランス内ピロティに移動。管理人室から電源をひき炊飯器や電子レンジを床に直置きして調理。持ち寄ったキャンプ用テーブルなどで簡易サロンが出来上がりました。晩にはお酒も登場し、皆で食事や談笑することで緊急時のストレス軽減にもなったような気がします。誰かがエントランスから入ってくると「おかえりなさい!」とまるで大家族のようでした。

◎プライバシーを保ち絆もある住人関係◎
まるで長屋生活のような2週間でしたが、普段はそこまでの距離感ではありません。とはいえエレベーターで会えば仲良く話したり、おすそ分けをいただいたりすることもあります。顔は見えるけれどお互いのプライバシーはしっかり保たれている心地よい状態です。住人の顔ぶれは変わっていきますが、共にサバイバルしたお仲間という絆の意識は残っていると感じます。変な話ですが、このマンションで被災して本当によかったと何度も思い、在宅避難ができたのも「自主防災協力会」の存在のおかげだったことは確信しています。

 


第36号 は、他以下の取組みをご紹介しています。
忘れずに前へ進む
2面 ● みちのく潮風トレイルを歩く
3面 ● 災害教育を知る旅 ● 3.11伝承ロードを訪ねて
4面 ● 世界防災フォーラム ● 災害支援の現場から
続きはこちらからご覧ください。

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