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202002.10

日本の音声市場をリードする「Voicy」の創業者に聞く、音声メディア市場の現在と未来

動画メディアに続き、音声メディアの市場が盛り上がりつつあります。

アメリカでは、3人に1人がポッドキャストを毎月聞き、成人の4人に1人がスマートスピーカーを所有していると言われています。一方、日本でインターネットを介した音声メディアに親しんでいる人はまだまだ少ないのが現状ですが、今後さらなる盛り上がりが期待されています。

なぜ音声メディアが大きく注目されているのか。また、音声メディア市場は今後どのように成長していくのか。「声のブログ」というコンセプトで、著名人を含む様々なパーソナリティが音声による情報発信を行うメディア「Voicy」を運営する、株式会社Voicyの代表取締役CEO、緒方憲太郎さんにお話を伺いました。

音声メディアが注目される3つの理由

―なぜ今、音声メディアが注目され始めているのでしょうか。

―緒方
その理由は大きく3つあると考えています。ひとつは、今の時代だからこそ必要とされてきているということです。

現代では、文字や画像、動画などの目で触れるコンテンツが充実しています。その一方で、目から情報を得ることに疲れてきている現状があります。

また、音声は目で見るコンテンツよりも発信者の感情が伝わりやすいため、人との直接的なつながりが希薄になり、どこかさみしさを感じている現代の人に刺さりやすくなっています。

加えて、音声には「ながら」で聞けるという特徴もあります。動き回りながらも情報を取得したり、好きなコンテンツに触れたりできるということが、忙しい人が多い今の時代に適している、と緒方さんはいいます。

―緒方
二つ目は、Voicyなどのように、一般の人が簡単に音声を届けられる仕組みができたこと。ネットの音声メディアが台頭する以前は、YouTubeなどのように一般人が気軽に発信できる手段が音声にはなく、ラジオが唯一の音声メディアでした。

ラジオは、声のプロがスタジオで台本を持って収録する「玄人」のコンテンツ。Voicyなどのサービスができたことで、気軽にコンテンツの発信が可能になったことも、音声メディアの盛り上がりに寄与しているようです。

―緒方
三つ目は、Google Nestやアレクサ、Siriなど、音声で操作できるツールが出てきたことです。これまでは、耳から情報を取り入れるためであっても、まずは手で端末を操作する必要がありました。しかし、それでは自分の手の届く範囲からしか情報を取得することはできません。今では音声で操作できるツールが生まれたことによって、手を使わずに口と耳だけで情報交換ができるようになっています。

音声操作は、今後もさまざまな領域での活用が期待されていると緒方さんはいいます。

―緒方
今後は、スマートフォンも何も持たなくても、あらゆるものが音声で操作できる時代になるでしょう。また、今はルールや漢字を覚えるといったこともすべて人間が当たり前にやっていますが、何を覚えることなく直感でできるようにもなる。将来的に、ほとんどの生活情報には、音声を介して触れるようになると考えています。

音声コンテンツならではの魅力が、サービスの成長を後押し

―そもそもVoicyを立ち上げようと思ったきっかけは、何だったのでしょうか。

―緒方
起業を考えたときに、五感の一つを丸取りできる事業がいいと思ったんです。

もしも五感のうち何かが使えなくなったとしたら、情報交換するときに最も困るのは目か耳です。そう思ったときに、目の情報には人が集まっているけれど、耳の情報にはまだまだ拡張の余地があると感じました。

また緒方さん自身、人と話したり、人の話を聞いたりしている時間が楽しく、音声によって届けられる情報が自分の人生を豊かにしてくれていると感じていたことも理由のひとつだそう。

―緒方
文字のブログを読むよりも人の話を聞いた方が、深く印象に残ります。そういったなかで、声と、声の持つ力は非常に大きいなと思いました。そして、声をIT化する会社をつくろうと考えたんです。

そして2016年に起業。しかし当時、世間の反応は冷ややかでした。状況が変わったのは、2018年のこと。

―緒方
2018年に「声のブログ」というキャッチフレーズを用いた ことで、はあちゅうさんやイケダハヤトさんといった著名人を含むさまざまなブロガーさんが、Voicyを使って発信するようになりました。さらに、そのコンテンツを聞いたリスナーが、音声であればその人のアプトプットだけでなく、人となりを感じられるという魅力に気づき始めたようでした。

現在では、個人の発信者にスポンサーが付き、Voicyで年収1千万を稼ぐプレイヤーも出ているそう。企業でも、社内報を音声で発信しようといった動きがあるそうです。

―緒方
従来のコンテンツは、発信に手間や時間がかかるものばかりでした。それゆえにコンテンツの発信者は、プロか時間のある人ばかり。本当に聞きたいのは、いろいろな経験をして人生を豊かに生きている人の話なのに、そういった人が簡単に発信できるツールがほとんどなかったんです。

でも、音声コンテンツならば、話したいことをすぐにそのまま発信できる。感情まで乗っている情報リッチなものであるにも関わらず、手間が非常に少ないんです。次の時代には、コンテンツそのもののつくり方も変わっていくのかなと思っています。

Voicy発のヒットコンテンツとは?

―現在、Voicyはどのように活用されているのでしょうか。

―緒方
通勤中や作業中に聞いている人もいれば、自分の生活の中でVoicyを聞くことを習慣化している人など、さまざまです。ラジオと大きく違うのは、20~30代のリスナーが多いこと。若い人たちがおもしろいと思うコンテンツもありますし、SNSと連動させて若い層にリーチしていることも影響しているのではないでしょうか。

一方、Voicyで発信を行っているパーソナリティは約350人。募集は広く行っているものの、審査は厳しく行い、人間的に豊かでおもしろい人を採用しているそう。

―緒方
人の話は、聞こうと思わなければ聞けないんです。誰でも発信できる音声メディアもあるべきだとは思いますが、Voicyでは、この人の話を聞いた方がいいよと言えるコンテンツをつくりたいと思っています。

では、緒方さんイチオシのVoicyコンテンツは?

―緒方
すべておすすめではあるのですが、強いて言うならワーキングママのはるさんという方が発信しているものでしょうか。ワーキングママの仕事の考え方や時間の使い方、キャリアアップの話など、働きながら子育てをする女性に向けたコンテンツで、サポーターがいるほど熱く支持されています。

ワーキングママにとって、音声メディアは家事やメイクをしながら聞けるコンテンツなので、とても相性がいいのだそう。緒方さんも、これからワーキングママのコンテンツが流行るのではと予想されていました。

音声メディア市場は「にわかには信じがたいほど」大きくなる

―今後、音声メディアはどのように変わっていくと思われますか。

―緒方
おそらく、にわかには信じがたいほど大きくなるのではないかと思います。数あるコンテンツの見せ方のひとつではなく、目で見るよりも耳で聞く時間の方が長くなっていく。今のテレビの市場以上に伸びるのではと思います。

すでにアメリカでは、朝起きてから寝るまでずっとワイヤレスイヤホンを付けている人がたくさんいるとのこと。

イヤホンを付けた状態で生活することが普通になる日も、そう遠くないのかもしれません。

緒方さん、お忙しいなかありがとうございました。

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