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201911.05

企業がミッション・ビジョン・バリューを設定する意義とは?それぞれの関係性と考え方

近年では、自社の理念や価値観を「ミッション」「ビジョン」「バリュー」という形で掲げる企業も珍しくなくなりましたよね。労務行政研究所のアンケート調査によると、ミッションやビジョンがあると回答した企業はそれぞれ約75%にも上っています(「経営理念の策定・浸透に関するアンケート」2016年)。

一方で、これらの意義について改めて考えたことのないビジネスパーソンもいるのではないでしょうか。今回は、ミッション・ビジョン・バリューが企業で果たす役割について解説します。

企業の社会的正当性を示すミッション・ビジョン・バリュー。それぞれの関係性とは

ミッション・ビジョン・バリューは、経営学者のP.F.ドラッカーがその重要性を指摘したことで知られる概念です(『ネクスト・ソサイエティ』)。

以下で、それぞれの定義や考え方、関係性について見ていきましょう。

ミッション
企業の果たすべき「使命」、企業の「目的」を指します。企業の「存在意義」と表現されることもあり、なぜ、何のために自社が社会に存在しているかを表すものです。具体的には、

・どのような顧客やマーケットに対して
・どのような商品やテクノロジーを通じて
・どのような価値をどう提供するか

という観点から、普遍的な理念が抽出されています。

たとえば、株式会社良品計画は「無印良品の理想」としてミッションを掲げており、その内容は次のようになっています。

美意識と良心感を根底に据えつつ、日常の意識や、人間本来の皮膚感覚から世界を見つめ直すという視点で、モノの本質を探究していく。
そして「わけ」を持った良品によって、お客様に理性的な満足感と、簡素の中にある美意識や豊かさを感じていただく。

同社が企業活動を通じて、永続的に追求し続ける理想が掲げられていることがわかります。

ビジョン
ミッションで提示した使命感を原動力としながら、企業が中長期的に実現を目指す「自社のありたい姿」です。たとえば、業界内での位置づけや組織の在り方などが示されています。先ほど挙げた良品計画のビジョン(良品計画の目標)を見てみましょう。

良品計画で働く仲間の永続的な幸せを第一の目標とする。そのために、社員、スタッフ全員が高い目標にチャレンジし、努力し、達成した時の充足感を持てる風土をつくることで、無印良品の思想を具現化し、世界レベルの高収益企業となることを目指す。

企業風土や収益についての目標が示されていますよね。

ビジョンはその性質から、達成までの具体的な期間や定量的な目標が提示されることも多くあります。

バリュー
企業内で共有される価値観を表します。ビジョンの実現に向けて、メンバーが判断したり行動したりするための価値基準が、このバリューです。再び、良品計画の例を見てみましょう(良品計画の価値観)。

誠実で正直であること、仲間を大切にし信頼を深めること、そしてひとりひとりが地球大の発想で考え、挑戦し、やり抜くことを尊重する。
それが良品計画の目標を達成するための土台となる。

社員全員が共感できるよう、比較的シンプルな内容になっているのがポイントです。

これらのうち、ビジョンは達成することを前提としているため、達成されるごとに新たなビジョンへとアップデートされていくのが特徴です。たとえば、キリンホールディングス株式会社は3年ごとに策定する中期経営計画の中で、その都度新たなビジョンを掲げています。

また、社会や組織の変化に応じて、ミッションやバリューも変化することがあります。たとえば、Facebookは2017年6月、これまでのミッション「Making the world more open and connected」に代わる新たなミッション「Bringing the world closer together」を掲げました。

企業が社会とのかかわりを見直す中で、ミッションやビジョン、バリューも再定義されるんですね。

ミッション・ビジョン・バリューの浸透度合いが従業員エンゲージメントに影響

ドラッカーが主張したミッション・ビジョン・バリューの意義は、対外的な側面が強調されていますが、これらの概念は企業自体にとっても重要な役割を果たしています。

その意義とは、企業が進むべき方向を社員が認知し、共有できること。ミッション・ビジョン・バリューが明確に提示され、社員に浸透することで、企業の求心力が高まり、社員全員が同じ方向に向かって日々の業務を行えるようになります。逆に、これらが明確化されておらず、社内に定着していないと、メンバーは「何のために毎日この会社で仕事をしているのか」が見えてこず、業務へのモチベーションが低下してしまうのです。言い換えれば、ミッション・ビジョン・バリューは従業員エンゲージメントに関わっているといえるでしょう。

このミッション・ビジョン・バリューによる効果は、具体的な成果として現れる場合もあるという見解もあります。経営者JP総研が行ったアンケート調査によると、ミッション・ビジョン・バリューを含む自社の理念を「完璧にいえる」と回答した人のうち、67.6%が、直近5年の自社の業績が「向上している」と回答。このことから同研究所は、ミッション・ビジョン・バリューなど理念の浸透と、企業の業績に関連性があると分析しています。

ミッション・ビジョン・バリューを単に設定するだけでなく、いかに社内に浸透させるかがカギといえそうです。

メルカリの事例~小泉氏の反省から生まれたミッションとバリュー

ミッション・ビジョン・バリューが企業に好影響を与えている例のひとつが、メルカリです。
メルカリでは、次のようにミッションとバリューを公表しています。

<ミッション>
新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る

<バリュー>
Go Bold 大胆にやろう
All for One 全ては成功のために
Be a Pro プロフェッショナルであれ

これらの策定をリードしたのは、かつてミクシィでCFOを務めた小泉文明氏。当時のミクシィでは、企業のミッションやビジョン、バリューを社員に対して明確に示すことができておらず、mixiという強力なプロダクトによって求心力を高めている状況だったといいます。mixiが好調なときは問題なかったものの、プロダクトとしてのライフサイクルが成熟期・衰退期に向かうと、社員の想いがひとつにならず、組織がバラバラになっていったとか。

小泉氏はこの反省をもとに、メルカリのミッションとバリューの設定に尽力。創業当時はあいまいなミッションしか設定されていなかった同社で、徹底的に議論を行い、現在のミッションとバリューが生まれました。

浸透面では、特にバリューの浸透を重視。会議室の名前に「Bold」「All」といったバリューの一部を使ったり、バリューの書かれたTシャツやステッカーなどのグッズを作ったりと、ユニークな工夫がなされています。今では、社員同士の雑談の中でもバリューが自然に口を突いて出ることも。このようにミッションやバリューを明確に設定し、確実に浸透させていることが、メルカリ急成長の原動力になっていると小泉氏は強調しています。

一度は失敗を経験し、その反省を大きな成功につなげている小泉氏の発言だからこそ、強い説得力がありますよね。

おわりに

ミッション・ビジョン・バリューは、企業の行く末を左右するともいえる概念ともいえます。普段、これらをあまり意識してこなかったビジネスパーソンも、今一度、確認してみてはいかがでしょうか。

自社のミッション・ビジョン・バリューが、経営戦略や各事業とどう結びついているかを意識するだけでも、日々の仕事に対するモチベーションが高まるかもしれませんよ。

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